あなた自身が住みたい家を建てて下さい――
建築士の青瀬稔は、青瀬の建築が気に入ったという吉野夫妻からそう依頼された。
そして立てたのが通称”Y邸”。
北側からの光、ノースライトを取り込んだその建物は『平成すまい200選』にも選ばれた。
しかし、引き渡しから4ヶ月、Y邸にはただの1度も住まれた形跡がなかった。
横山秀夫さんの『ノースライト』を読みました。
あらすじ
北側からの光を取り入れた通称”Y邸”。
建築士の青瀬稔の代表作だが、引き渡し後誰も住んでいないことがわかる。
施主の吉野夫妻の消息を追ううちに、日本を愛したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの存在が浮かび上がる。
一方、青瀬が勤める建築事務所のボス・岡嶋昭彦は、S市出身の画家・藤宮春子の「メモワール」のコンペに参加するため、S市の幹部に接近する。
感想
横山秀夫さんといえば事件ものというイメージなのですが、この作品で扱われているのは建築(ちょっとだけ横山秀夫さんの得意分野も登場しますが)。
私は建築には詳しくないのですが、横山秀夫さんの描写で、頭の中に建物が浮かび上がるから不思議。
胸をうつデザインというのは、玄人も素人も関係ないのでしょうね。
もちろん、横山秀夫さんの描写が素晴らしいのでしょうが、文章だけでその様子がありありと頭の中に浮かんだのは、愛野史香さんの『あの日の風を描く』以来でした。
建築士に限らず、職人なら誰しも自分が生み出したもののその後が気になると思います。
それが思い入れのあるものであればなおさら…
にも関わらず、自分が設計した家に人が住んでいないとなると、どんな気持ちになるか、想像に難くありません。
青瀬が施主の吉野の消息が気になるのは当然だと思います。
その一方で、新しい仕事にも取り組む必要がありますが、それが大きな仕事だったら…
青瀬の心の中が透けて見えるような描写は、さすが横山秀夫さん。
話の組み立て方もさすがでした。
機会がありましたらぜひ。




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