奥さんの狙いどおりになったわけですね――
飲み会の席で、夫の浮気をきっかけに離婚し、働きに出たパン屋で成功を収めた女性の話を訊き、”座間味くん”はそう言った。
玉城聖子が1歳の時に巻き込まれたハイジャック事件に警察官の立場で関わった大迫と、機内で犯人と交渉にあたった会社員の”座間味くん”の3人は、大迫が持ち込む事件の話を肴に、酒を酌み交わす中になっていた。
楽天市場で購入する
石持浅海さんの『新しい世界で 座間味くんの推理』を読みました。
あらすじ
1歳の時にハイジャック事件に巻き込まれた玉城聖子は、事件の関係者の大迫と”座間味くん”に、20歳を迎えたお祝いをしてもらった。
その席で、警官の大迫は、夫の浮気をきっかけに離婚し、働きに出たパン屋を建てなおした女性の話を持ち出した。
それに対し、座間味くんは「奥さんの狙いどおりになったわけですね」と言い放つ。
感想
「座間味くんシリーズ」の第5弾です。
前々作の『玩具店の英雄』では、科学警察研究所の職員、前作の『パレードの明暗』では女性特別機動隊の隊員が、大迫と座間味くんの飲み会に参加していましたが、今回は女子大生の玉城聖子が2人の飲み会に加わります。
なぜ女子大生が?と思ったのですが、シリーズ1冊目の『月の扉』で発生したハイジャック事件で人質になった1歳の女の子だったんですね。
それから19年。大迫と座間味くんの飲み会が続いていたのが凄いなぁ、良いなぁと思ってしまいました。
いつものことながら、座間味くんの頭はキレッキレ。
思いもよらぬ真相を言い当ててくれます。
これもどんでん返しだよなぁと思っていたら、最後の『お揃いのカップ』ではすっかりやられてしまいました。
何があったかは読んでのお楽しみですが、良いなぁと思う気持ちと、このシリーズの続編はないかな?という寂しさが半々でした。
収録作品
表題作のほか、『救出』、『雨中の守り神』、『猫と小鳥』、『場違いな客』、『安住の地』、『お揃いのカップ』が収められています。
救出
ハイジャック事件のあと、何もできなかった聖子の父は酒に溺れるようになってしまった。
そんな父の様子を危惧した伯父一家は、聖子を全寮制の中高一貫校に通わすなどして、聖子を救ってくれた。
雨中の守り神
大学在学中に、気象観測用のドローンを開発する会社を起業した男性が、雨の軽井沢で空き巣を発見。副社長と協力してドローンで追いかけ、空き巣犯の逮捕に繋げた。
猫と小鳥
定年を過ぎてから二輪免許を取り、ソロツーリングを楽しむ男性が、バイクの上でひなたぼっこする猫が縁で、近所のアパートに住んでいた女性と結婚することになった。
場違いな客
大迫の合気道仲間の警官がキャンプ場へ行ったところ、スーツ姿でソロキャンプを楽しむ女性を発見した。
安住の地
カトリック系の女子高校の施設は古く、前年のセントパトリックスデーで、OGが浮いた石畳に足を取られて転倒する事故が発生した。
今年の事務局を任された女性教師は、1人で石畳が浮いている箇所を調べ上げたが…
お揃いのカップ
大迫の息子が働く会社で、広報部の50代の女性と、経営企画室の20代の男性が、ペアのマグカップを使用しているのに気づいた。




コメント