【読書】愛野史香『海が天に届くとき』

愛野史香 ├ 愛野史香

それって人の役に立つ仕事になるの?
大学院で復顔を専門にする綾木遥花は、復顔が社会の役に立つのかと悩んでいた。
そんな時、バイト先の科学博物館の郷間を通じて、東京春天大学から行方不明になっていたある教授の復顔を依頼される。
東京春天大学広報課の星悠月は、復顔の記録を残すために遥花のもとに通いはじめるが、悠月は公言したくない過去を抱えていた。

愛野史香さんの『海が天に届くとき』を読みました。

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あらすじ

大学院で復顔を専門にする綾木遥花のもとに、バイト先の科学博物館の郷間を通じて、東京春天大学から、行方不明になっていたある教授の復顔の依頼が入る。
創立100周年に向けて「偉人の教員アンドロイド計画」というプロジェクトを立ち上げ、黎明期に教鞭を執った小齊宗次郎のアンドロイドを制作したいのだという。
鳥取砂丘で発見された小齊の遺骨をもとに復顔をする様子を記録するため、東京春天大学広報課の星悠月は遥花のもとに通いはじめるが、悠月は公言したくない過去を抱えていた。

感想

『あの日の風を描く』でデビューした愛野史香さんの3冊目の著書です。
3冊目となると、脂が乗ってくる頃と言いたいところですが、デビュー作の『あの日の風を描く』があの出来でしたからねぇ。
期待値が半端なく高いわけですよ。

しかも、『あの日の風を描く』と同じく、”復元”の話。
『あの日の風を描く』では屏風絵の復元だったのに対し、今回は復顔と、対象が大きく異なるのですが、さらに期待が高まります。

ただ、結論から言うと、『あの日の風を描く』の方が上だったかな?というのが、正直な感想。
最後に屏風絵が完成した時の描写が、まるで部屋の中に置かれたような感動を覚えたのですが、今回はそれがなかったかな?と…

はじめに、郷間が東京春天大学の総長に遥花の過去の成果物を見せたときには、頭の中に復元された顔がありありと思い浮かび、鳥肌が立ったのですが、小齊の復顔が終わったときには、その感動がなかったかな。

それも愛野史香さんの狙いのひとつで、そのあとの展開に持っていく方に重きが置かれていたように感じたのですが、小齊の復顔の結果は結果として頭の中に思い浮かぶような描写が欲しかったかなと。
それができる方だけに、ちょっと高望みをしてしまいました。

これまでの2作品と違うのは、人対人の感情の移ろいが描かれていたところでしょうか。
まだ苦手な部分があるのかな?と感じましたが、不器用なふたりのやりとりを十分に楽しませていただきました。

新しい分野に挑戦し続ける愛野史香さん。
次回作はどういった作品になるのか、早くも楽しみで仕方ありません。

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