【読書】中山七里『ヒポクラテスの困惑』

中山七里 ヒポクラテスの誓いシリーズ └ 中山七里

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るうが、治療薬もなければワクチンもない。
そんな中、インターネット通販で財を成した萱場が、新型コロナウイルス感染症で死亡した。
萱場の腕には素人によるものと見られる注射痕が6つ。萱場は1本1000万円の未承認ワクチンを6本セットで入手し、接種していたらしい。

中山七里さんの『ヒポクラテスの困惑』を読みました。

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あらすじ

インターネット通販で1代で財を成した萱場啓一郎が、新型コロナウイルス感染症で死亡した。
萱場の姪・寧々は、まだ世に出回っていない未承認ワクチンを、萱場が1本1000万円の6本セットで購入し接種していたため、新型コロナウイルス感染症で死亡するはずがないと主張する。
解剖にあたった浦和医大法医学教室の光崎教授は、萱場の体内から亜ヒ酸(砒素)を抽出する。
さらに、有名なYouTuberが亜ヒ酸によって死亡し、彼も未承認ワクチンを接種していたことがわかる。

感想

「ヒポクラテスの誓いシリーズ」の第6弾です。
このシリーズも、コロナ禍に突入。
新型コロナウイルスと法医学。どうやって結びつけるんだろうな?と思っていたら、死因は別にあったという設定でした。
浦和医大法医学教室の准教授・キャシーは、新型コロナウイルス感染症で死亡した患者を解剖できるまたとない機会だと思ったのにと、お怒りの様子でしたが、確かに治療をする側ではなく、法医学の立場からの見解というのも有益なのかも知れません。

作品の中では、船の中で集団感染が発生したダイヤモンド・プリンセス号や、米製薬大手のファイザーなどが実名で登場。
最初の被害者の名は萱場でしたが、オンライン通販サイト〈KAYABA TOWN〉を創設し、アパレル部門だけで売上高1500億円を突破。世界に数台しかないスーパーカーを自転車感覚で購入、SNSを通じてフォロワーに金を配り、女性タレントと浮名を流し…
あぁ、あの人を殺しちゃったんですね。

このシリーズは、光崎教授によって死の真相が明かされるという部分から、反対する遺族を抑え、いかにして死体を解剖に回すかというところが見せ場になってきているような気がします。
それも、光崎教授を信頼しているからこその行動ではあるのでしょうが。

萱場の解剖後は、”市民の代表”から、ワクチンの正体を明かせとか、ワクチンを頒布せよと、浦和医大への抗議活動が。
未承認ワクチンについてもそうですが、当時の混乱具合ですとか、流言飛語に踊らされた社会を見れば、ネタにはつきませんよね。
今でこそ笑ってみてられますが、当時は本気だったんだろうなって思います。

一応”コロナ禍”は脱したのだと思いますが、未だに土曜日の朝刊には1医療機関あたりの患者数が掲載されています。
いつになったらこんな状況から抜け出せるんでしょうね。
インフルエンザのように、完全に封じ込めることができないのでしょうか。
インフルエンザと同じく、発症日を0日として最短5日目までは出席停止になるため、受験生の親としては気が気でありません。

ついつい夜ふかしをして読んでしまったのですが、あと10ページくらいというところから、寝落ちをしながら読んで…
一応最後まで読み切ったのですが、ぜんぜん頭に入っていなかったので、翌日に読み直しました。
「どんでん返しの帝王」らしく、最後にもうひと展開あったんですね。ぜんぜん覚えていませんでした…

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