【読書】夢枕獏『神々の山嶺』

夢枕獏 ▼著者 ヤ行

そのカメラは、ジョージ・マロリーがエヴェレスト登頂に成功したか否かの論争に決着をつけるものかも知れない。
カメラマンの深町誠はカトマンドゥの裏街で古いコダックを入手した。
そのカメラの過去を追った深町は、伝説の孤高の単独登攀者・羽生丈二と出会う。
羽生はひっそりとネパールに住みつき、エヴェレストに挑むタイミングを計っていた。

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夢枕獏さんの『神々の山嶺』を読みました。

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あらすじ

カメラマンの深町誠はカトマンドゥの裏街で、古いコダックを入手した。
そのカメラはかつてジョージ・マロリーがエヴェレスト登攀時に持ち込んだもので、マロリーがエヴェレストの頂を踏んだかどうかという謎に決着をつけるものかも知れなかった。
そのカメラの出自を探っていた深町は、伝説の孤高のクライマー・羽生丈二と出会う。
羽生はエヴェレスト南西壁の登頂を断念したあと、ひっそりとネパールに住みつき、ふたたびエヴェレストに挑戦するタイミングを計っていた。

感想

文庫本で1000ページオーバー(上・下分割)の長編です。
前半は、面白いのだけれども、長さを考えると少し退屈かな?といった印象。
今どきの言葉で言うと、タイパが良くない作品といった感じでしょうか。
しかし、後半に入ってからはどんどん面白くなってきて、最後は夢中で読みふけってしまいました。

この作品で使われる重要な小道具が、ジョージ・マロリーが持って登ったと言われるカメラ。
ジョージ・マロリーは、1924年にアンドリー・アーヴィンとともにエヴェレスト山頂を目指し、消息を絶った人物。
マロリーがエヴェレストの頂を最初に踏んだ人であるか否かというのは、いまだに決着がついていない謎です。

マロリーのカメラが発見され、頂上から撮った写真が存在すれば、それが証明されるのですが、1999年に見つかったマロリーの死体の荷物からは、カメラは発見されなかったそうです。

マロリーのエヴェレスト挑戦記としては、ジェフリー・アーチャーの『遙かなる未踏峰』が読みやすいのではないかと。
この作品は、マロリーが最初のエヴェレスト登頂者という設定で書かれていて、その証拠となるものは、カメラではなく愛妻の写真ということになっています。

そして、この作品でエヴェレストを目指すのが羽生丈二。
自我が強く、ライバルと競うように山に挑む男。
不器用なんだけど、応援したくなるようなキャラクターです。
その羽生を、カメラマンの深町の目を通して見るかたちで物語が進んでいきます。

マロリーが、なぜエヴェレストに挑むのか?と訊かれ、「そこにそれがあるから」と答えたのは有名ですが、この作品も、なぜ山に挑むのか?という自問自答を繰り返しながら進んでいきます。
結局、そのあたりは本人にしかわからない感覚なんだろうなぁと思うのですが、「人間だから」というのが、1つの答えなのかな?と思えました。

ヴォリュームのある作品ですが、山岳小説好きの方にはおすすめの作品です。

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