奥秩父で山小屋を経営していた父が、交通事故で亡くなったとき、亨も人生に行き詰まっていた。
半導体研究者として大きな実績を残した亨だったが、抜け殻状態になっていたのだった。
そこで心機一転、父の山小屋を継ぐ決意をする。
そんな亨の小屋を訪れるのは、ホームレスのゴロさん、自殺願望のOL、妻を亡くした老クライマー…
山小屋の1年を描いた連作短編集。
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笹本稜平さんの『春を背負って』を読みました。
あらすじ
山小屋〈梓小屋〉を経営していた父が交通事故でこの世を去ったのを機に、亨は脱サラして梓小屋の経営に乗り出す。
そんな亨の前に現れたのが、東京でホームレスをしているゴロさんだった。
ゴロさんは父の後輩で、梓小屋の手伝いをしてほしいと言われていたのだという。
半信半疑でゴロさんを雇いはじめた亨だったが、強盗殺人容疑でゴロさんを探しているという刑事が訪ねてくる。
感想
これまで読んできた笹本稜平さんの作品は、ヒマラヤを舞台にした壮大な物語ばかりだったのですが、こういう心あたたまる作品も良いなぁと。
その中にも山の厳しさだとか、人の命の儚さなどが散りばめられていて、ただただほんわかとした作品になっていないところがまた良かったり。
そして、言葉の端々に、良いことが書かれているんですよね。
様々な価値観やバックボーンを持っている人たちが登場するため、言葉に厚みがあります。
山岳小説でありながら、冒険小説ではなく、人を描いた作品になっていますので、機会がありましたらぜひ。
収録作品
表題作のほか、『花泥棒』、『野晒し』、『小屋仕舞い』、『疑似好天』、『荷揚げ日和』が収められています。
花泥棒
梓小屋にほど近いシャクナゲの群生地で、シャクナゲが2株盗掘にあった。
センサーを仕掛けた夜、シャクナゲの群生地に急行した亨とゴロさんが目にしたのは、身体が冷え切って倒れている女性だった。
野晒し
登山道の整備中、崖の下から白骨化した遺体が発見された。
その4日後、84歳の男性が梓小屋に来る途中で遭難してしまう。
GPSで位置情報を送ってもらったところ、白骨化した遺体が発見された場所にいることがわかる。
小屋仕舞い
11月末日、梓小屋を閉鎖し山を下りたゴロさんが、脳梗塞を発症してしまった。
さいわい、血栓を溶かす新しい治療を施せることがわかったが、ゴロさんはすべての治療を拒否すると言い出す。
疑似好天
亨の母が女将をしている旅館に甲武信ヶ岳を越えて下山してくる北原ら3人のパーティが予約を入れている日、二つ玉低気圧が奥秩父を襲った。
北原らはなんとか山小屋に避難することができたが、パーティの1人の夫が交通事故に遭い、危篤状態だという。
荷揚げ日和
梓小屋の経営が軌道に乗ってきたこともあり、亨ははじめて荷揚げにヘリコプターを利用した。
しかし、その荷物にまぎれて、女の子と猫が山小屋前の広場まで荷揚げされてしまった。
春を背負って3,316円




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