「女房を殺しました」
W県警教養課次席の梶警部が自首してきたことで、警察内に激震が走る。
梶は、痴呆症が悪化した妻を不憫に思い、扼殺したのだという。
しかし、妻を殺害してから自首するまでの2日間に、どこで何をしていたのかについては一切話そうとしない。
「死に場所を探して彷徨い歩いていた」という調書が作られ、梶は秘密を抱いたまま、司法の手に自らを委ねる。
横山秀夫さんの『半落ち』を読みました。
あらすじ
W県警教養課次席の梶聡一郎警部が、妻を殺したと自首してきた。
痴呆症が進んでいた妻は、息子の墓に参ったことも忘れ、命日の日も忘れようでは母親ではないと半狂乱になり、梶の手を自らの首に当て、殺して欲しいと懇願したのだと言う。
一方、妻を殺害してから自首するまでの2日間、どこで何をしていたのかについては頑なに口を閉ざしてしまう。
感想
重厚な作品を書かれる方だなぁと、改めて実感。
この重々しさが癖になる作家さんです。
章ごとに、警察官、検事、新聞記者、弁護士、裁判官の目線から事件が語られるのですが、最後にもう1人残されている。
最後の1人が、空白の2日を埋めるキーパーソンなのかと思ったのですが、そうでもあり、そうではなかったり…
どの人物の目線で語られる話も面白いのですが、やはり元新聞記者の横山秀夫さんですから、新聞記者目線での話が抜けているように感じました。
リアリティや緊迫感が伝わってきます。
最後にようやく明かされる”空白の2日間”の謎ですが、そこまでして守らなければならなかった秘密なのか？と、少し疑問に…
事件の前であれば、迷惑をかけてしまうかも知れませんが、事件の後であれば、限られた人間の間で秘密を守ることができそうな気がしますが、マスコミが嗅ぎつけてしまうと面倒なことになってしまうかな？
うーん、わからなくもないけど、ちょっと弱い気がしました。
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