倉知淳さんの『星降り山荘の殺人』を読みました。
あらすじ
開発業者が新しく買い取ったオートキャンプ場の宣伝のために、スターウォッチャーの星園詩郎、作家の草吹あかね、UFO研究家の嵯峨島一輝ら9人が、雪に閉ざされた山荘に集められた。
しかし、一夜明けると開発会社社長・岩岸豪造が殺害されているのが発見された。
星園は付き人の杉下和夫とともに、事件を推理する。
感想
「あくまでもフェアに、読者に真っ向勝負を挑む本格長編推理」と銘打たれた作品。
節ごとに、「まず本編の主人公が登場する。主人公は語り手でありいわばワトソン役。つまり全ての情報を読者と共有する立場であり、事件の犯人では有り得ない」といった説明がつけられています。
中には、「事件がなかなか起きないからといって退屈してはいけない。重要な伏線がいくつか張られているからである」といったものも…
2006年のプロ野球オールスターゲームでの藤川球児投手のストレート宣言なみに、本気で真っ向勝負を挑んできているように思えてしまいます。
しかし、そこは「ストレートという名の魔球」。
巧みに読者をミスリードする仕掛けが施されています。
「先入観にとらわれるのが悪いんだよん」と言われるとそれまでなのですが、先入観を持って読んでいると、まんまと罠にはまってしまいます。
最後まで読み終わったあとで、説明を読み返してみると、やられた!と思うはずです。
倉知淳さんとの知恵比べは面白かったものの、最後の推理ショーのところが少し重かったでしょうか。
言っていることも複雑で、頭が着いていかない場面もありました。
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