越野ハルカが引っ越してきた町は、未来視ができるタマナヒメ伝説が残る町だった。
父が失踪し、母と弟と3人で地方都市に引っ越してきたハルカ。
初日から友人ができて無事に中学デビューを飾ったが、この町は古くから伝わるタマナヒメの伝説と、高速道路の誘致計画に揺れていた。
米澤穂信さんの『リカーシブル』を読みました。
あらすじ
中学に上がるタイミングで坂牧市へ引っ越してきた越野ハルカと、小学3年生のサトルの姉弟。
ハルカは初日から在原リンカという友人ができ、無事中学デビューを果たすことができる。
ハルカが住む常井という町には、未来視ができるタマナヒメの伝説が残っており、現在でも町に住む女性がタマナヒメの役割を担っていた。
感想
うーん、よくわからなかったなぁ、というのが正直な感想。
話の内容はわかったし、謎のまま終わってしまったものもないんだけど、どう読めば良いかわからなかったっていうのが1番近い言い方かな?
ハルカの弟・サトルの秘めたる能力が本物なのか?っていう方向へ引っぱっていっておいて、最後に急展開っていうストーリーだったと思うのですが、なんだか舞台設定が邪魔をして、入り込めないでいたって感じです。
これが、山奥の村での話だったり、昭和前期の話だったら、もっとすっと入っていけたと思うのですが、そのあたりも米澤穂信さんの狙いだったのでしょうか。
高速道路の誘致問題っていうのも違和感を感じたのですが、そのあたりが未だに続くタマナヒメ信仰に繋がっているのでしょうか。
高速道路を誘致しても、懐が温かい人たちの懐がさらに温かくなっても、地域の人たちはほとんど恩恵を受けられないんですよね。
淡路島が良い例で、以前は観光する場所、泊まる場所でしたが、橋ができ、高速道路ができたことで、スイーッと本州から四国へ抜けてしまえるので、ただの通過点になってしまったんですよね。
お金が落ちてくるのはごく一部の地域、施設のみ…
作品内でも、隣町にショッピングモールができたから、町の商店街が寂れちゃったっていう話が出ていたのに、何も学ばない人たちだなぁって。
とはいえ、タマナヒメ伝説が現代まで残っているという設定は興味深く、戸惑いの中で物語が終わっていくという、面白い体験でした。
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