母を事故で亡くした前原葵は、母が営んでいたワインバーを継ぐ決心をする。
日中はこれまでと変わらず会社勤めをし、夜はワインバーで働く生活。
同棲をしているにも関わらず、引きこもりになって会話がなくなってしまった彼氏、ワインバーで調理を担当してくれる店員、母の代からの常連客…
32歳の葵が選んだ仕事、恋愛、家族とは。
「第一回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」受賞作品。
島本理生さんの『2020年の恋人たち』を読みました。
あらすじ
母が、交通事故で亡くなった。
遺された前原葵は、母が営んでいたワインバーを引き継ぐことを決断する。
同棲しているが、引きこもりになってしまった恋人の港、ワインバーの店員・松尾、母の代からの常連客である幸村…
本業の他に、副業として行うワインバーの経営は、周りの男性たちとの付き合い方を整理するきっかけになる。
感想
なんだかお久しぶりの島本理生さん。と思ったのですが、読書ノートを遡ってみると、ちょうど1ヶ月前に『匿名者のためのスピカ』を読んでいたようです。
『第一回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞』の受賞作とのことですが、私が考える恋愛小説とはちょっと違う。
そのあたりが、”大人の”恋愛小説なのでしょうね。
主人公の前原葵は、自分というものを持っていて、芯が1本通っている感じ。
そんなに頑張ったら、疲れちゃうんじゃないの?って思うのですが、精神面もそうだし、身体面も日中は会社勤めをし、夜はワインバーの営業と、とってもタフな人。
隙を見せない人と言えば良いのかな。男性から見れば、簡単に落とせなさそうな人ってなるのでしょうか。
それでも、”恋愛小説”という言葉が示すとおり、人に頼りたくなる時があるみたい。
それでも、葵は葵ってところが、読んでいて気持ちがよかったです。
タイトルにある2020年というのは、飲食業にとって嵐が吹き荒れた年になりました。
この作品も、東京五輪が開催される2020年という位置づけで連載されていたようですが、新型コロナウイルスのパンデミック発生に伴い、単行本化される際に、加筆、改題されたそうです。
おそらく、島本理生さんにとっても、予想だにしない年になったのだと思います。
コメント