【読書】下村敦史『ロスト・スピーシーズ』

下村敦史 ├ 下村敦史

アマゾンの奥地に望むものとは?
植物学者の三浦は、南米アマゾンの奥地に咲くと言われる、ガンの特効薬になる「奇跡の百合」の採取を目指す、アメリカの大手製薬会社の社員らとともに、アマゾンへ足を踏み入れる。
しかし、さっそく2人組の男たちに襲われ、予定外の難航を強いられる。それでも誰1人として引き返すと言い出さないのには、理由があった。

下村敦史さんの『ロスト・スピーシーズ』を読みました。

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あらすじ

アメリカの大学で植物学を教えている三浦眞一郎は、大手製薬会社の社員で、新薬開発のためにガンの特効薬になると言われている「奇跡の百合」を探すクリフォード・スミスと南米アマゾンに入る。
メンバーは2人の他、植物ハンターのデニス・エバンズ、ボディーガード役のロドリゲス・シウバ、環境問題を学ぶ大学生のジュリア・リベイロ。
5人は漁船をチャーターしてアマゾンへ入るが、まもなく追ってきた白人男性2人から銃撃を受け、漁船を失う。
陸路で道を切り拓きながら移動することを強いられることになった5人だが、誰も引き返すと言い出さないのには、各々がアマゾンの奥へ向かう理由を抱えていたためだった。

感想

先日文庫化され、面白そうだなと思ったので、さっそく読んでみました。
期待通り…といけば良かったのですが、ちょっと消化不良だったかな。

あらすじとしては面白いのですが、物語の中で起きる1つ1つの事象が、アマゾンの奥地へ足を踏み入れておきながら、そんなに上手くいかないでしょうって思っちゃうんですよね。
最終盤はそれこそピンチの連続ですが、はじめからそんなピンチの連続だったんじゃないかなって。
まぁ、いちいち書いていると、ページがどれだけあっても足りなくなるのかも知れませんが、ちょっと上手くいきすぎのような感が…
それでも、物語の中で起きる出来事すべてが、その後の話に繋がる伏線になっているあたりは、さすがだなと思いました。

タイトルになっている『ロスト・スピーシーズ』は、「失われる種」という意味なのだそうです。
アマゾンには一千万種以上の生物が生息しているとか…
きっと、名前がつけられていないどころか、人間の目に触れたことがない動植物だってあるのでしょう。
「奇跡の百合」だって、本当に存在するかも知れません。
その一方で、絶滅していく生物も数知れず。一説によると、世界で毎日100種もの生物が絶滅しているのだとか…

そういえば、アマゾンを舞台にした作品は、あまり読んだことがないな、なんて思いながら読んでいました。
何が起きても不思議でない場所であると同時に、実態が分からなさすぎて、なかなか小説の舞台にはならないのでしょうか…
アガサ・クリスティーは、エジプトや中東を舞台にした作品を書いていましたけどね。

もう少し”波乱”が欲しかったかなぁと思ったものの、気を抜く暇がないくらい次から次へといろいろなことが起きるので、終始楽しく読ませていただきました。

コメント

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