帝都第一銀行に入行して3年目の結城真悟は、渉外部への異動を命じられる。
リーマンショック後、焦げつきそうになった債権の回収を行う渉外部の仕事は困難を極めていた。
しかも、結城がついて渉外部の仕事を教わっていた課長代理の山賀が殺害されてしまう。
結城は「伝説の回収屋」山賀雄平が残した難案件を志願して担当するが…
中山七里さんの『笑え、シャイロック』を読みました。
あらすじ
帝都第一銀行に勤務して3年目の結城真悟。
出世争いでは同期たちよりも半歩リードしている実感を得ていたが、内示を受けた異動先は焦げつきそうな債権を回収する渉外部だった。
結城は課長代理の山賀雄平について、渉外部の仕事を教わるが、その山賀が夜の公園で刺殺されてしまう。
残された難案件を、結城は自ら志願して担当する。
感想
リーマンショック後が舞台に選ばれています。
従って、土地や物の価値は下がり、債権を回収するには難しい環境に。
山賀の元では3ヶ月ほどしか学べなかった結城ですが、もともとのセンスが良かったのか、残された難しい案件にあの手この手で挑んでいきます。
彼女の友紀のひと言から着想を得たりと、毎回誰かからヒントをもらうのかな?と思いきや、多くは自ら返済プランをひねり出してきます。
渉外部という、なんとなく存在は知っているけど、具体的な仕事の進め方までは知らない部署を知れたのは、1つ収穫でした。
知らない世界を見せてくれるのも、小説の1つの利点ですよね。
債権の回収と並んで、もう1つの課題となっている山賀の殺人の件は、中山七里さんらしく、捻りの効いたもの。
ただ、1つめだとそれほど驚きはないし、2つめだと気をつけて頭の片隅に刻み込んでおかなければ「誰だっけ?」ってなってしまう人物になっていて、その間くらいに設定できなかったかなぁと、ちょっと残念に感じてしまいました。
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