東野圭吾さんの『魔力の胎動』を読みました。
あらすじ
鍼灸師の工藤ナユタが定期的に針を打っているスキージャンパー・板屋幸広は、膝の怪我などの影響があり、選手生命を閉じようと考えていた。
流体工学の研究を行っている筒井准教授を訪ねてきた羽原円華は、試合当日の風を読み、自分が指示するタイミングでスタートしてほしいと板屋に進言する。
感想
最近はいろいろな作家さんに手を出すようにして、それなりに好きだなと思える作風の作家さんも見つかっているのですが、やっぱり東野圭吾さんは別格だなと感じました。
私の好みにドンピシャと突き刺さる作家さんです。
この作品は、『ラプラスの魔女』の前日譚という位置づけになっています。
5つの章から成り立っていますが、長編と言うよりも連作短編と言った方が適切かも知れません。
1~4章は、羽原円華と鍼灸師の工藤ナユタの物語。5章は泰鵬大学の青木修介の物語になっています。
そして、『ラプラスの魔女』の開始地点である、赤熊温泉の事故現場に青木が出向いたところで話が終わるという形になっています。
空気や水の流れが読めるという円華の特技(超能力?)をうまく活かした作品になっています。
なかでも、野球のナックルボールの話は好き。
投げた本人でも想像できないボールの動きを予測してしまうのですから、円華にぴったりの話になっています。
また、円華の能力だけではなく、その人のポテンシャルを引き出してやるというところにも共感しました。
ドラえもんの道具を通じて己を見直すのび太にちょっと似ているかな?
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