昭和64年に発生した未解決事件『翔子ちゃん誘拐事件』
この報道のあり方について、警察と報道陣が真っ向から対立してしまう。
広報官の三上は、緩衝材として両者を纏めようとするが…
横山秀夫さんの『64(ロクヨン)』を読みました。
あらすじ
D県警広報官の三上義信は、事故の加害者を匿名で発表したことから、記者クラブと揉めてしまう。
そんな中、14年前の昭和64年1月5日にD県で起きた未解決事件『翔子ちゃん誘拐殺人事件』の警察庁長官視察が決定するが、記者クラブの面々は取材をボイコットすると脅しをかける。
感想
読んでいてしんどいな、というのが第一印象。
文庫の上下巻にして784ページという長さもあるのですが、特に序盤は1つの段落が長く、リズムに乗れない。
そして、それ以上に三上が責められるばかりで、浮上のきっかけすら見えない。
きっと私なら、メンタルを病んでしまうだろうなぁと思いながら、読めば読むほど気が重くなっていってしまいます。
物語はやがて人事の話になっていくのですが、ポストにキャリアが就こうが、叩き上げの人間が就こうが、大きな違いはなく、結局その人の人間性や能力じゃないの?って思ってしまうのですが、そこは警察官として譲れない部分があるのでしょうか?
そして、最後は見事。
『翔子ちゃん誘拐殺人事件』と新たに発生した誘拐事件を並べながら突っ走っていくこのスピード感。
それを広報官の目から見たことが、さらなる勝因だったのかな?と思いました。
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