「尾坂部さんが辞めんというんだ」
D県警の人事を預かる二渡は、天下り先のポストにしがみつこうとする尾坂部の説得に当たろうとするが、尾坂部は一向に首を縦に振らない。
しかし、説得を続けていくうちに、過去の未解決事件が浮かび上がる。
その事件には、6月に挙式を控えた尾坂部の娘が関係していて…
横山秀夫さんの『陰の季節』を読みました。
あらすじ
3年で天下り先のポストを空けるはずだった尾坂部が、天下り先の産業廃棄物不法投棄監視協会の専務理事を辞めないと言い出した。
すでに後任は決まっており、D県警の人事担当・二渡真治は、尾坂部の説得に専念するが、尾坂部は首を縦に振ろうとしない。
説得を繰り返しているうちに、二渡は過去の未解決事件が関係していることを突き止める。
感想
松本清張賞受賞作にして、横山秀夫さんのデビュー作です。
恩田陸さんの『ドミノ in 上海』のあとに読んだので、はじめは物語の世界に入るのに苦労してしまいました。
なんでこんな順で読んでしまったのか…
相変わらず、というか、はじめから横山秀夫さんはこのような重厚な作品を書かれていたんですね。
デビュー作と聞いていなければ、著書の1冊として普通に読んでいたと思います。
1998年に松本清張賞を受賞した作品ですが、「婦警」という言葉が出てきたりと少し時代を感じさせられるものの、大きな違和感なく読めてしまいます。
この作品の1番のポイントは、警務課を舞台にしたところ。
また、記者とのやりとりも生々しいのですが、そのあたりは新聞記者だった横山秀夫さんならではと言えるでしょうか。
生々しい警察内部の話を楽しめる1冊になっていました。
収録作品
表題作のほか、『地の声』、『黒い線』、『鞄』が収められています。
地の声
警部昇進後、17年間警視になれずにいる曾根和男のスキャンダルが、D県警監察課宛に届いた。
新堂は事実確認と曾根を刺した人間のあぶり出しをはじめる。
黒い線
似顔絵婦警の平野瑞穂が、お手柄を上げた翌日に失踪した。
婦警担当係長の七尾友子は瑞穂の行方を追う。
鞄
県議会の答弁の準備を担当する柘植は、鵜飼議員が警察に対して爆弾を投下するという噂を耳にする。
必死にその内容を鵜飼から聞き出そうとする柘植だが…




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