内田康夫さんの『棄霊島』を読みました。
浅見が五島列島の取材で世話になった元警察官・後口能成が御前崎の海岸で死体となって発見された。後口は長野にいる娘の家に身を寄せるために五島の家を後にしたところで、娘には東京へ寄ってから行くと伝えていた。
浅見は事件の捜査のため長崎へ引き返すが、軍艦島で生まれた最後の赤ん坊だという篠原雅子に会う。雅子が産まれるとき、切迫流産の危機が迫った母・紀子は、自衛隊のヘリコプターによって本土の病院へ運ばれていた。
この作品の舞台となっている軍艦島(端島)は長崎県長崎市にある島です。
明治から昭和にかけて海底炭鉱の採掘で繁栄した島で世界文化遺産にも登録されていて、太平洋戦争中には、その姿形から米軍の潜水艦が本物の軍艦と見間違えて攻撃したという巷談も残されています。
ただし、「舞台」とは言っても、浅見は一度も軍艦島には上陸しないという変わり種。
三十余年前で軍艦島で発生した事件に端を発し、その時の記憶を背負った人物らによって、現在の事件に発展していくことになります。
物語の前半で大まかな事件のストーリーが見えてきます。
後半はそのストーリーの細部を詰めていく作業になるのですが、最後の最後で突然、予想していたのとは異なる場所に放り出されます。
「ラスト○○ページで思いもよらぬ結末!」というキャッチフレーズが似合いそうな作品となっています。
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