東川篤哉さんの『伊勢佐木町探偵ブルース』を読みました。
桂木圭一は、神奈川県横浜市伊勢佐木町に事務所を構える探偵。
母・京子が再婚したのだが、なんとその相手は神奈川県警本部長。
しかも、義弟は伊勢佐木署に勤務する刑事。
今日も、探偵事務所に持ち込まれる、飼い猫探しや素行調査に精を出す桂木だが、なぜか殺人事件に巻き込まれてしまう。
義弟の一之瀬脩と協力しながら、伊勢佐木界隈を賑わす事件を解決に導く。
東川篤哉さんお得意のコメディタッチのミステリーとなっています。
あらぬところから事件の謎が解けていくというのが、このシリーズの特徴でしょうか。
義父が県警本部長、義弟が刑事となると、私はどうしても内田康夫さんの浅見光彦シリーズを思い浮かべてしまいますが、そこからは一線を画した模様。
しかし、義弟と一緒に聞き込みに回れるというのは、ある意味浅見光彦シリーズ以上でしょうか。
ユーモアが至る所に散りばめられているのですが、東川篤哉さんの他の作品に比べると、読みづらい印象を受けたのは私だけでしょうか。
他のシリーズと比べて主要登場人物に女性が少なく、メリハリが効いていないことがその原因かもしれないと思いました。
それにしても…
2作目の『尾行の顛末』の中で、桂木圭一の舎弟・黛真琴が、一之瀬脩の同僚の松本刑事に対して、
「迷子の警察犬を探して欲しいとか、そういう依頼ですか?」
とおちょくったのに対して、松本刑事が
「迷子の警察犬なら、うちで探します。ていうか、そんな間抜けな警察犬は一頭もいませんからご安心を」
と返す場面があります。
その場面で思わず吹き出したのですが、翌日の夕刊を見ると…
「兵庫県警の警察犬「クレバ号」が、捜索中に逃走。2日後に木にリードが絡まった状態で発見」
って…
ぜんぜん笑えないじゃん。
真実は小説より奇なりってやつですかね。
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