東川篤哉さんの『探偵アリサの事件簿 さらば南武線』を読みました。
なんでも屋を経営する橘良太は、溝ノ口に住む老人・坂口順三から自宅の壁のペンキを塗り直して欲しいと依頼され、坂口家を訪ねた。
しかし、呼んでも呼んでも順三は出てこない。
義理の息子・敏夫が窓ガラスを割って様子を見に行くと、順三は風呂場で溺れ死んでいた。
玄関のドアにはU字ロックがかけられ、窓にもクレセント錠がかけられた密室であったことから、順三は不幸な事故によって死亡したと判断された。
しかし、それに異を唱えたのが、全国に名を知らしめる探偵・綾羅木幸三郎と、世界を股にかけて活躍する探偵・綾羅木慶子の娘で小学5年生の有紗だった。
探偵アリサシリーズの完結編だそうです。
キャラクターや物語の進行が固まってきて、これからというところだったので、ちょっとショックを受けています。
最後の作品で良太が振り返っているように、1作目(物語の中では1年前)とは随分変化が。
それは、シリーズを書き進めていく中での進化なのだと思っていましたが、実はアリサの成長だったんですね。
毎月のように事件が発生して、短編4編×3冊=12ヶ月=1年となるわけです。
続編を期待してしまう終わり方をしているのですが、東川篤哉さんはせっかく育てたシリーズキャラクターを呆気なく手放すことがあるので、今回もアリサが帰ってくることはないのかなぁなんて思いながら読了しました。
1編目は「双子の家」、最後の作品は密室トリックと、もうアイデアが出尽くしたようなジャンルの作品ですが、それを新鮮に感じさせるところはさすが。
3編目も時間的にどうなんだろう?なんてことを忘れさせるような、意表を突いたネタを取り込んでいるところが好きでした。
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