南原詠さんの『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』を読みました。
あらすじ
特許権を盾に、企業から巨額の賠償金をふんだくっていた元パテント・トロールの大鳳未来のもとに、VTuberが使用している撮影システムが特許を侵害しているとの警告書が届いたと、相談が持ちかけられた。
権利者は、撮影システムの使用中止と破棄、ならびに売り上げの10%を要求するという、他に類を見ない内容だった。
このシステムを使用する人気VTuber・天ノ川トリィを護るため、未来が立ち上がる。
感想
第20回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作だそうです。
こういった特許が絡む作品、結構好きです。
そこまで詳しいわけではないのですが、技術者としては、自分の実績を金銭で評価される特許というものは、憧れでもあり、指標でもあったりします。
特許をメインに取り上げているものの、そこまで難しい話はなし。
せいぜい、契約ごとのレベルの話に留められていますので、不慣れな方でも読めるのではないでしょうか。
その特許に組み合わされるのが、VTuber。
YouTuberという言葉は知っていましたが、VTuberというのは、今回初めてお目にかかりました。
リアルの人が動くのではなく、バーチャルの人間やものなどを動かす動画のことなんだとか。
物語の主題は、未来がいかにして侵害したとされる特許を崩しにかかるか。
でも、ただ単に特許の無効を立証できるような案件ではなく、あの手この手で依頼人に優位な条件を引き出そうと奔走します。
最後は少し冗長な部分があった気もするのですが、それは私の特許に関する知識が足りなかっただけかな?
このミス大賞をとっただけのことはあって、面白い作品でした。
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