島田荘司さんの『斜め屋敷の犯罪』を読みました。
あらすじ
北海道の最北端、宗谷岬に建つ通称〈斜め屋敷〉。
母屋の床は5~6度傾いており、母屋の隣りに建つ塔はピサの斜塔と同じだけ傾いている。
クリスマスの夜、館の主人・浜本幸三郎の仕事関係者らが招かれたが、翌朝、招待客の菊岡栄吉の運転手・上田一哉が密室で殺害されているのが発見される。
さらに翌日、4名もの刑事が館内に泊まり込んだにも関わらず、今度は菊岡が殺害されてしまう。
感想
『占星術殺人事件』に続き、私にとって2作目の島田荘司さんの作品。そして、2つめの御手洗潔ものです。
1982年に刊行された作品だそうですが、今回読んだのは2008年に刊行された「改訂完全版」。
そのせいか、古めかしい雰囲気や、読みづらさは特に感じませんでした。
『斜め屋敷の犯罪』というタイトルからして、この斜めになっているところがトリックに使われているのだろうなというのが予想されます。
そういう意味では、他の作品よりもフェアと言うことができるかも知れません。
1つめの上田一哉が殺害された事件の密室トリックは、私の想像通り。
でも、死体があんな奇妙なポーズを取ったまま硬直するかなぁ?という疑問は残りました。
2つめのトリックは、まったく予想できませんでした。
こちらは、まさに〈斜め屋敷〉という舞台をフルに活かしたトリックになっています。
100%成功するかどうかは別として、非常に興味深いトリックです。
今回も、探偵役は御手洗潔。
物語が2/3を超えてからの登場で、いきなり意味不明なことを言い出したと思ったら…
もうその時点で大方の謎は解いてしまっていたんですね。
もがき苦しんだ『占星術殺人事件』とは違って、電光石火の解決劇でした。
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