『終身検視官』、『死体掃除人』、『クライシス・クライシ』…
数々の異名を持つL県警の検視官・倉石義男は、誰もが自殺や病死と疑わない案件を殺人と見破り、殺人と目された案件を「事件性なし」と覆してきた。
そんな倉石を頼りにする捜査官は多く、倉石の”臨場”を求める依頼が後を絶たない。
横山秀夫さんの『臨場』を読みました。
あらすじ
赤い名刺
アパートで若い女性の首吊り死体が見つかった。
死亡した女性は、検視官の倉石義男とともに臨場した調査官心得の一ノ瀬和之の浮気相手・相沢ゆかりだった。
ゆかりのことを知らない人物といった一ノ瀬に、倉石は検視をするよう指示する。
感想
L県警の凄腕検視官・倉石義男が手がけた事件を取り上げた、8つの短編から成る短編集です。
文庫本にして、1つの話が40ページくらいと短いのですが、中身はギューッと詰まっていて、さすが横山秀夫さんといったところ。
殺害されたのに自殺だとか病死などとされては被害者が浮かばれませんよね。
そんな案件を見破るのが倉石の仕事ですが、本人はそんなことは関係なく、好きでやっているといった感じ。
別の言い方をするとプロフェッショナルに徹しているのですが、感情に流されない分、正確な判断が下せるのでしょうか。
テレビドラマの第2シリーズに合わせて、出演者のインタビューなどを併録した「臨場 スペシャルブック」というものが出ているようなので、そちらも読んでみたいと思います。
収録作品
『赤い名刺』のほか、『眼前の密室』、『鉢植えの女』、『餞』、『声』、『真夜中の調書』、『黒星』、『十七年蝉』が収められています。
眼前の密室
地元新聞社の記者・相崎が県警捜査一課係長の大信田の家の前に張り付いている間に、大信田の妻が殺害された。
相崎が現場を離れたのは電話ボックスに走った17分間だけ。
しかも、玄関の扉が開いたらわかるようにした仕掛けはそのまま残されていた。
鉢植えの女
青酸カリを仕込んだカプセルを口に含み、無理心中する事件が発生。
一ノ瀬が臨場するが、倉石は一ノ瀬の見立てに疑問を投げかける。
餞
定年を4日後に控えた刑事部長の小松崎のもとには、13年前から差出人欄に「霧山郡」とだけ書かれた年賀状と暑中見舞いが届いていたが、昨年の暑中見舞いから葉書が途絶えていた。
倉石に訊くと、昨年霧山郡の住人で亡くなった女性は2人だという。
声
斎田梨緒は、レイプの被害者となったことから一念発起し、猛勉強の上司法試験に合格した。
その梨緒が検察での研修中に自殺してしまう。
真夜中の調書
団地の一室で高校教師が殺害された。
犯人は黙秘を貫いていたものの、DNA鑑定の結果を聞かされたところで自白した。
しかし、倉石はDNA鑑定をやり直せと言い出す。
黒星
元婦警の町井春枝が車内に排気ガスを引き込んで自殺した。
誰もが自殺と考えた案件を、倉石は殺人だと言い、100人規模の捜査員を投入させる。
十七年蝉
同じポストに9年座り続ける倉石に対して、所轄署長への移動の打診が行われた。
しかし、倉石は十七年蝉の話をして断るが…




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