物語の前提が根底から覆される衝撃!
騙されたい。見事な伏線回収を見届けたい。衝撃の結末を味わいたい……
どんでん返しを売りにする小説には、魅力がいっぱい。
そんな、どんでん返しが魅力のオススメ10冊を紹介したいと思います。
どんでん返しのオススメの10冊
相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』
死者が視える霊媒・城塚翡翠と、推理小説作家の香月史郎。
翡翠が視た死者の姿をもとに香月が推理を行うことで、いくつもの難事件を解決してきた。
一方、関東では連続女性死体遺棄事件が発生し、世間を騒がせていた。2人は証拠を残さない連続殺人鬼を追いつめることができるのか?
読んでいて、思わず「ウソでしょう」と口走ってしまった作品です。
今でもからかわれているんじゃないかと思うくらい、見事に騙されました。
ひとつひとつ説明されると、一応理解はできるのですが、やっぱり今でも信じられません。
秋吉理香子『聖母』
河川敷で4歳の男の子の死体が発見された。
男の子は性器を切り取られ、死後に暴行された形跡が残されていた。
一方、不妊治療の末、ようやく娘を授かった主婦・保奈美は、夜の町を歩く不審な男性・蓼科秀樹を発見して110番通報する。
蓼科には性的暴行事件で前科があったが、事件当時のアリバイがあり、捜査の対象から外される。
蓼科が逮捕されないことに業を煮やした保奈美は、自ら蓼科が犯人である証拠を探しはじめる。
とある理由により、どこか落ち着かない気分で読み進めることになります。
その内容が明らかになったところから、あらゆる謎の氷解がはじまるのですが、すべてが繋がったとき、感動を通り越して放心してしまいました。
人間って、心底驚いたときは本当に口が開きっぱなしになるんだなってことを知った1冊です。
綾辻行人『十角館の殺人』
建築家・中村青司が建てた十角館がある孤島・角島に、大学のミステリ研究会のメンバー7人が上陸した。
2日目の朝、ホールのテーブルの上には、「第一の被害者」~「第四の被害者」、「最後の被害者」、「探偵」、「殺人犯人」と書かれた7枚の板が置かれていた。
そして翌朝、仲間内で”オルツィ”と呼ばれる学生の絞殺体が発見されるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。
孤島での殺人事件なので、クローズドサークルと位置づけてしまいたくなりますが、本土から5kmしか離れていないこと、館を建てた中村青司がからくり好きな建築家だったことから、外部犯の可能性も捨てきれないというところが、一筋縄ではいかない要因になっています。
登場人物さえも惑わす巧みな誘導。そして、真実が明らかになる瞬間の衝撃!
編集の妙で、改訂時にこの作品最大の演出がなされているため、衝撃が2倍にも3倍にも感じられるようになっています。
歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』
〈何でも屋〉ならぬ〈何でもやってやろう屋〉を自称する成瀬将虎は、地下鉄の駅で飛び込み自殺を図った女性・麻宮さくらを救う。
また、同じフィットネスクラブに通う久高愛子から、おじいさん・隆一郎の事故について相談を受ける。
隆一郎は健康食品や羽布団などを売りつける悪徳会社・蓬莱倶楽部に散々金を巻き上げられた上、保険金をかけられて、轢き殺されたと言うのだ。
成瀬は蓬莱倶楽部に潜入して証拠を掴もうとするが…
思わず「アンフェア?」と思ってしまいました。でも、騙された私の方が悪い。作者の歌野晶午さんはまったくのフェアです。
すべてが明らかになったとき、タイトルにある「葉桜の季節」という言葉に納得がいく作品です。
「必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本」と紹介されているのにも納得の1冊です。
下村敦史『告白の余白』
全国を放浪していた兄・北嶋英一が突然帰宅し、土地の生前贈与を要求した。
父が渋々同意して手続きを行った途端、英一は京都祇園の京福堂の清水京子が現れたら、自分が譲り受けた土地を譲渡してほしいという遺言書を残して自殺した。
双子の弟・英二は、京都祇園の京福堂を訪れるが、兄の英一と間違えられてしまい…
全編にわたって堂々と伏線が張り巡らされているのが特徴の作品です。伏線なのに、ぜんぜん伏せられていない!という新鮮さを感じました。
「京都らしい」と言うと、いつも京都の人に怒られてしまうのですが、他の土地では成り立たないお話です。
最後に伏線が回収されていく様が見事なのですが、人と人のやりとりだからこその、血液が通った物語になっています。
知念実希人『硝子の塔の殺人』
科学者にして大富豪、そしてミステリフリークの神津島太郎が、ミステリの歴史が根底から覆される発表を行うために、6人の客を〈硝子の塔〉に招待した。
医師の一条遊馬は、その発表前に神津島の部屋を訪ね、フグ毒を飲ませて殺害する。
予定外の出来事はあったものの、遊馬は神津島の部屋を密室にして、他の客人に紛れ込むことに成功する。
しかし、翌朝、執事の老田真三がダイニングで殺害されているのが発見される。
遊馬は、老田殺しの犯人に神津島殺しの罪も着せてしまおうと、名探偵の巴円香の助手を買って出るが…
全面ガラス張りとはいかないものの、各部屋に大きな硝子窓が取り付けられた、円錐形の建物〈硝子の塔〉を舞台にした作品です。まるで、すべてを見通すことができるような錯覚に陥るのですが、そこには大きな仕掛けが。
「この作品はどこへ行ってしまうのだろう?」という不安から、ラストになだれ込んでいく様は一読の価値ありです。
東川篤哉『交換殺人には向かない夜』
烏賊川市内に探偵の鵜飼杜夫は、事務所のオーナーの二宮朱美とともに、咲子の夫・晴彦が浮気をしているかどうかを調査するため、猪鹿村にある善通寺邸に使用人として潜入する。
咲子が同窓会のために家を空けた夜、晴彦は庭を掘り返したあと頭を抱えて叫び声をあげ、邸から出て行ってしまった。
一方、烏賊川市内では、女性の刺殺体が見つかる。刑事の志木は上司の砂川警部、和泉刑事とともに捜査にあたるが…
タイトルにあるとおり交換殺人の話なのですが、そこは東川篤哉さん。単純な事件ではありません。
3人の美女に引っ張り回され、最後にすべてが繋がるまではぐらかされてしまいます。
何が起きているのかさっぱりわからないまま話が進んでいくのですが、最後にタネ明かしをされても頭の混乱が治まらないほど、ぶっ飛んだ結末が待ち受けています。
東野圭吾『容疑者Xの献身』
花岡靖子と娘の美里は、アパートの部屋を訪ねてきた元夫の富樫慎二を殺害してしまう。
隣の部屋に住み、靖子に想いを寄せている数学教師の石神哲哉は騒ぎを聞きつけ、2人のために完全犯罪を企てる。
警察がどうしても解けない謎に、石神の学生時代の友人であり、物理学者の湯川学が挑む。
石神がどれだけ周到に隠蔽工作を行ったとしても、靖子と美里は所詮一般人。警察の追及にあうと、どこかで尻尾を出しそうなものなのですが、その兆候すら見せません。
なぜ靖子と美里が警察の追及から逃げおおせたのか、その理由が明らかにされたとき、感動したのを覚えています。
答えを見せてもらうと、なぜわからなかったのか?と思うほど美しい解が用意されています。
藤崎翔『お隣さんが殺し屋さん』
専門学校に通うために上京してきた美菜は、アパートの隣の部屋に住む雄也に挨拶に行った時に、部屋の中に落ちている銃弾を見つけてしまう。
長身でどこか陰がある雄也に一目惚れしてしまった美菜。
一方、美菜に銃弾を見つけられてしまったことに焦る雄也…
殺し屋の”ビッグ”は、組織きっての凄腕で、暴力団川西組組長の育ての母を振り込め詐欺で騙したグループを見つけ出し、殺害することを依頼される。
田舎から出てきた女の子が、裏で殺し屋をしている男の子に恋をして…という、よくある(?)話なのかなと思いながら読んでいると、所々に違和感が…
そして、明らかにおかしな点があって、藤崎翔さんのミスなのかな?と思っていたら、そこが伏線で…。すっかり騙されてしまいました。
何が起きていたのか、本文中でしっかりとおさらいしてくれるので、置いていかれないところも良い点でしょうか。
山口未桜『禁忌の子』
兵庫市民病院救急科の医師・武田航が当直の夜に搬送されてきた患者「キュウキュウ12」は、顔も身体的特徴も武田に瓜二つだった。
中学の同級生で同じ病院の消化器内科の医師・城崎響介の力を借り、武田は体外受精で得られた受精卵を胚盤胞まで培養してから子宮内に移植する胚盤胞移植のパイオニア・生島京子に辿り着くが、指定された日時に訪れると、京子はクリニックの理事長室で首を吊って死んでいた。
武田はDNA鑑定を依頼し、「キュウキュウ12」と自分が双子であることを知る。
医師でもある山口未桜さんが、午前4時に当時1歳だった娘さんの泣き声で目を覚ましたときに思いついたというストーリー。
答えを聞くと「そういうことか」と思うのですが、そんなことを考える暇を与えないスピード感や緊迫感に脱帽です。
謎が謎を呼ぶ展開で、最後にするっとすべての謎が解かれる展開に引き込まれてしまいました。




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