普段は宝物館に収容されており、女王が国会でスピーチするときのみ持ち出される王冠が狙われた。
賓客と同様の警護体制が敷かれた王冠を、どのようにして盗み出そうというのか?
ロンドン警視庁の警視正に昇進したウィリアム・ウォーウィックと美術品窃盗詐欺師マイルズ・フォークナーの知恵比べがはじまる。
ジェフリー・アーチャーの『消えた王冠は誰の手に ロンドン警視庁王室警護本部』を読みました。
あらすじ
美術品窃盗詐欺師のマイルズ・フォークナーが、自らの減刑のためにフィッツモリーン美術館に寄付した『キリスト降架』は贋作だった。
フィッツモリーン美術館の新館長になったベス・ウォーウィックは、ニューヨークにあるマイルズのコンドミニアムに飾られた『キリスト降架』と美術館にある贋作の入れ替えを行う。
これに怒ったマイルズは、ベスの夫でロンドン警視庁の警視正ウィリアムたちを辞職に追い込むため、ウィリアムらが警護を行うイギリス女王の王冠の奪取計画を立てる。
感想
「ウィリアム・ウォーウィックシリーズ」の第6弾です。
久々にジェフリー・アーチャーの全盛期のときのような面白さを味わうことができました。
「クリフトン年代記」以降、ちょっと退屈と思いながら氏の作品を読んでいたのですが、今回の作品は手に汗握る展開。
しかも、一難去ってまた一難と、よく練られたストーリで、終盤は一気読みでした。
ただ、ちょっと既視感があったのも事実で、『盗まれた独立宣言』に似ているところが多かったかな?と思いました。
でも、『盗まれた独立宣言』も好きな作品ですし、これだけ作品を書いてこれば、どこか似たところがあっても仕方ないよなと。
どうやって王冠を盗むのかな?ということが1番興味のあったところですが、それくらいリスクを負わないと無理だよなと思うような計画。
なるほどなと思いはしましたが、若干無理があるところも…
でも、そんな思いが吹き飛んでしまうほどの筆力を感じる作品になっていました。
噂によると、このシリーズもあと2作。
本国では今秋にその最終巻(と言われている)が発売されたようです。
この歳になって新たなシリーズを書き始めて大丈夫かな?と、正直不安に思ったものですが、まだまだ健在のようです。
シリーズを順に読んでいった方が絶対に面白い作品なので、今から追いかけるのは少し大変かもしれませんが、その価値があるくらい面白い作品に仕上がっていました。




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