「あなたがしぶとく生きていたらいい加減迷惑なの!」
終末期の患者に緩和ケアをおこなうホスピス天心病院の医師・神崎秀輝は、病室のドア越しに患者の妻が罵倒しているのを耳にした。
安楽死を依頼された神崎は塩化カリウムを注射して患者を死なせ、嘱託殺人の罪で法廷に立つことになった。
下村敦史さんの『白医』を読みました。
あらすじ
ホスピスで終末期の患者に緩和ケアをおこなう医師・神崎は、患者を安楽死させたとして、3件の嘱託殺人の罪で起訴された。
真の終末期医療とは何なのか?
神崎が辿り着いた答えとは?
感想
6話からなる連作短編集です。
死の恐怖に苛まれ、襲ってくる身体の痛みと闘い続ける終末期の患者に対して、最適な医療行為とは?
医療従事者たちの葛藤が目に見えるようです。
どんでん返しの名手、下村敦史さんらしく、どの話も最後に大きな展開が待ち受けています。
それを”どんでん返し”とは言うのは相応しくないと思うのですが、オセロで角の石がひっくり返ったような驚きをもたらしてくれます。
最終話で神崎が辿り着いた究極の緩和ケアとは…
目から鱗がボロボロと落ちる気がしました。
扱っている問題が問題だけに、読んでいて辛くなってしまう部分も多々ありますが、それを超える安らぎを与えてくれました。
機会がありましたらぜひ。
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