【読書】藤崎翔『読心刑事・神尾瑠美』

藤崎翔 ├ 藤崎翔

「正解は…ダラララララララララララ…バン!」
刑事の花形捜査一課に配属された根津優吾は早速殺人現場に臨場するが、先輩刑事たちから緊張感が伝わってこない。
特に、神尾瑠美は現場をうろついているだけ。
さらに、昼になると、昼食をかけた犯人当てゲームがはじまった。
神尾は人の心を読むことができて、犯人も証拠品の在処も簡単にわかるのだった。

藤崎翔さんの『読心刑事・神尾瑠美』を読みました。

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あらすじ

根津優吾は刑事の花形、県警捜査一課に20代にして抜擢された。
R県警の捜査一課は他の都道府県と比べて凶悪事件の検挙率が非常に高いことで有名。
しかし、殺人現場に臨場しても、緊張感が感じられない。
おまけに、昼食をかけた犯人当てゲームがはじまる…
じつは、優吾と同じ三係の神尾瑠美は人の心を読むことができるため、瞬く間に犯人を検挙できるのだった。
そんなR県警管内では、連続殺人事件が発生していたが、捜査はまったく進んでいなかった。

感想

人の心を読めたら、人生苦労しないだろうなと思ったら、そんな簡単なものではないらしく。
男性からは性欲の対象として見られているのがわかるし、女性からは妬みの対象に…
そんな神尾が仕事しやすいようにと集められた捜査一課三係は、個性の強い者ばかりで。
優吾が抜擢されたのも、優秀だったからではなく、とある性癖を持っていたためでした。

神尾が人の心が読めることは、恋愛に関して有利に働くのでしょうか?
相手が本心で何を考えているかがわかるため、口先だけで語る愛には興醒めでしょうか。
また、自分から告白する場合でも、相手の気持ちがわかるので撃沈することはないかも知れません。
でも、そんなことを言っていたらいつまで経っても…
ただの友人とか同僚としか思われていない相手の心の中に、自分に対する気持ちを植え付けていく。そんなところが恋愛の楽しみの1つ(?)だとも思うのですが、心の中を読めてしまうとねぇ…

作者の藤崎翔さんですが、ご自身がミステリー小説が好きで、ずいぶん読んでおられるのかな?と感じました。
ニコチンを塗った剣山を凶器に使うというのは、エラリー・クイーンの『Xの悲劇』で似たような凶器が使用されましたよね。
また、レビー小体型認知症は、第21回『このミステリーがすごい!』大賞」の大賞を受賞した小西マサテルさんの『名探偵のままでいて』にヒントを得たのかな?と思ったのですが、いかがでしょう?

人の心が読めて、簡単に犯人を挙げることができるはずの神尾を、いかに苦労させるかというところに注力された作品。
藤崎翔さんらしくユーモアも交えられていて、気軽に読める作品になっています。
個人的には、ぜひシリーズ化して欲しいと思っているのですが…と、念を送るとテレパスの藤崎翔さんのが受け取ってくれて、というのは冗談ですが、藤崎翔さんの作品を紹介すると、Xにいいねをつけてくださるので、きっと私の願いは伝わっているはずです。

機会があれば、ぜひお手に取ってみてください。

収録作品

『読心刑事登場』、『読心刑事の難敵』、『読心刑事と結婚式』、『読心刑事と老人ホーム』、『読心刑事絶体絶命』が収められています。

読心刑事登場

中小企業の社長・戸村武雄が殺害された。
第一発見者は副社長の高岡、高岡の悲鳴を聞いて駆けつけた牧田が119番通報を。
社屋や工場と同じ敷地内にある戸村の自宅には、妻と長男が在宅していた。

読心刑事の難敵

ミステリー作家の波岡道彦の妻・久美子が、自宅の裏山の崖から転落して死亡した。
神尾はすぐに道彦が久美子を突き落としたことを察したが、証拠がない。

読心刑事と結婚式

R県警本部長の娘の結婚式を中止せよと、脅迫状が届いた。
神尾は招待客の中に、新郎の元カノが2人混じっていることを突き止めるが…

読心刑事と老人ホーム

特別養護老人ホームで、入所者のお年寄りが殺害された。
無断欠勤しているヘルパーの滝口春香の自宅を訪ねると、遺書を残して亡くなっていた。

読心刑事絶体絶命

神尾は優吾と共に同僚の引越しの手伝いの帰りに空き巣狙いを発見する。
留守宅に侵入したところを逮捕したが、さらに凶悪な念を発する男を見つけ…

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