教父は千人弱の信者とともに集団自殺する道を選んだ。
新興宗教〈人民協会〉の教父ジム・ジョーデンは、信者を連れてアメリカを飛び出し、南米の密林を切り開いた”ジョーデンタウン”を造り上げた。
その〈人民協会〉を調査するために、4名の調査団が結成されたが、調査団のメンバーが次々と不可解な状況で殺害される。
これは神罰なのか?
白井智之さんの『名探偵のいけにえ 人民協会殺人事件』を読みました。
あらすじ
大塒宗の探偵事務所のアルバイト探偵・有森りり子が、アメリカに学会の発表を聴きに行くと言ったまま姿をくらました。
大塒はりり子が、アメリカ発の新興宗教〈人民協会〉が南米の密林の中に造った”ジョーデンタウン”に向かったことを突き止め、あとを追う。
“ジョーデンタウン”にはりり子を含む4名の調査団が入っていたが、調査団のメンバーが次々と不可解な状況で殺害されていく。
感想
白井智之さんの作品は2冊目?と思ったのですが、どうやらお初だったようです。
舞台が海外ということも影響しているのかも知れませんが、なんだか翻訳された欧米の小説を読んでいるような気分がしました(文体がね)。
オカルト宗教だからというわけではないのでしょうが、どっぷりつかってしまうと、ないものが見えて、あるものが見えなくなってしまうものかと、ちょっと怖くなってしまいます。
まぁ、仏教や神道だって多かれ少なかれなんでしょうが…
最後は、2転3転の推理劇。
探偵が長々と推理を述べるのが好きじゃないのですが、この作品は約150ページが探偵の推理劇にあてられているにもかかわらず、すんなりと読むことができました。
合間合間に聴衆との短いやりとりが挟まれていたためでしょうか?それとも、私自身に免疫がついてきたのか…
2転3転の推理劇に耐えられるようにするには、それだけの数の推理に耐えられる事件にする必要が。
もちろん、最後の推理以外は穴があるのですが、それなりに納得させる必要があります。
少々無理矢理感があるものもありましたが、かなり入念に練られたのではないかと思います。
密室の謎に3つの推理をぶつけてくるあたりは、貴志祐介さんの『硝子のハンマー』を思い出しました。
伏線の張り方も見事で、もう1冊読んでみようかな?と思わされました。
さらに、Wikipediaで情報を集めていると、作風として”特殊な舞台設定や破天荒かつ不道徳な世界観を表現する作品が多くバラバラ殺人、少女趣味、エログロ、虫などを扱う、グロミステリーが得意である。”と挙げられていて…
ん、好み?
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