「美人は得だ」というのは本当なのでしょうか?
私の半生は「美人は得だ」というイメージとは逆転した、様々な苦労を強いられたものでした。
ついには事件に巻き込まれ、『被害者の美人母子 美しすぎるのは不幸か』といった見出しが週刊誌やスポーツ新聞を賑わせることになってしまいました。
真実を公にし、あらぬ誤解を解くために、私は手記を書くオファーを受けることにしました。
藤崎翔さんの『逆転美人』を読みました。
あらすじ
佐藤香織(仮名)は幼い頃から美人で、小学校低学年までに3回も誘拐されかけたほどだった。
学校では香織の周りに人が集まってくるかと思いきや、女子から妬まれイジメを受けることに。
上手く対応できなかった香織はやがて不登校になってしまう。
低ランクの高校に入学するものの、ここでも不登校になり中退。
結婚前後が人生で1番幸せな時期だったが、夫の寝たばこで夫と家を失う。
さらに、16歳の娘が同乗していた父の車が事故を起こし、娘は車椅子生活に。
自宅まで娘に勉強を教えに来てくれていた先生には、母子そろってレイプされそうになる。
感想
以前読んだ『逆転泥棒』と、昨年10月に刊行された『逆転ミワ子』を合わせ、「逆転シリーズ」として纏められているようですが、『逆転泥棒』との関連はなし。
ひょっとすると、刑事など、端役に共通点があるかも知れませんが、そこまではチェックしませんでした。
読んだ感想は、やられた!というもの。
杉井光さんの『世界でいちばん透きとおった物語』にちょっと似ていたかな。
この作品も「電子書籍化不可能」な話ですね。
『逆転泥棒』は最終盤でのどんでん返しでしたが、こちらの作品は徐々にひっくり返っていく感じ。
文庫にして350ページの作品ですが、234ページまでの手記の部分は舞台作り。
そこから”逆転”がはじまっていきます。
オセロの終盤で、白がパタパタパタと黒に裏返っていく感じでしょうか。
でも、まだ白の方が多い。
勝負を決める最後の1手として、とんでもない仕掛けが用意されていました。
違和感以上のものを感じとれる人はどれくらいいるでしょうか?
コメント