【読書】東野圭吾『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』

東野圭吾 ブラックショーマンシリーズ └ 東野圭吾

「やりましたね。本物です」
恵比寿にある隠れ家的なバー〈TRAPHAND〉のマスター・神尾武史は陣内美菜に向かってにやりと笑った。
美菜の夢は玉の輿に乗ること。
年収は2000万円以上、年齢差は15歳以内というのが条件で、これはと思う男性が現れると、人を見る目が確かな神尾に見極めを依頼していた。

東野圭吾さんの『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』を読みました。

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あらすじ

リノベの女

購入価格は2億円以上したであろう、港区白金にあるマンションの100平米以上の部屋のリノベーションの依頼が入った。
注文主は上松和美。40歳前後と思われる美人で独身。
建築士の神尾真世は、3つのプランを提示したが、和美が選んだのは正統派で、材料に思いっきりこだわった、もっとも高いプランだった。
しかも、普通なら比較するであろう、他の業者の見積りを取っていない様子だ。
真世が叔父が営むバー〈TRAPHAND〉で開店前に和美と打合せをしていると、和美の兄だという人物が訪ねてきた。

感想

『ブラック・ショーマン シリーズ』の第2弾です。
前作『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』は長編作品ですが、こちらは連作短編になっています。

どの話も、抱いていた印象が終盤にガラッと変わるものばかり。
そのあたりが、タイトルの「覚醒する女たち」ということなのでしょうか。

特に『相続人を宿す女』は、抱いていたイメージが180度ひっくり返りました。
かつ、社会問題も巧みに取り入れられていて、考えさせられる作品でした。

『査定する女』の中に出てきた〝人生における選択の意味を考えさせられます。違う道を選んでいたらどうなっていたかなんて、だれにもわからないということです〟という言葉は響きましたね。
私は過去を気にしすぎ。
「あの時、こんな行動をとっていたら…」なんてことをしょっちゅう考えています。
でも、私1人の言動で変わることなんて、ほとんどありませんよね。
未来、つまり今が変わっていたとしても、今より幸せになっていたかなんてわかりません。

これまでの東野圭吾さんの作品とは、ちょっと路線が違う話のような気がしますが、この先もシリーズ作品が続いていくんじゃないかな?と、期待しています。

収録作品

『リノベの女』のほか、『トラップハンド』、『マボロシの女』、『相続人を宿す女』、『続・リノベの女』、『査定する女』が収められています。

トラップハンド

婚活サイトで知り合った清川と、食事のあとバー〈TRAPHAND〉に立ち寄った美菜は、清川に勧められたブルーハワイを注文するが…

マボロシの女

火野柚希は、恋人の高藤らのジャズライブを聴いたあと、〈TRAPHAND〉で待ち合わせをしていたが、いっこうに高藤が現れない。
マスターの神尾がジャズクラブに電話をすると、高藤は事故に遭って病院へ搬送されたという。

相続人を宿す女

真世が進めていたリフォームの話に、突然ストップがかかった。
依頼人夫婦の事故死した息子は妻と離婚していたが、元妻が妊娠していることがわかり、産まれてくる子供が唯一の相続人になるという。

続・リノベの女

介護付き老人ホームに入居している末永久子のもとに、娘の奈々恵の友人から、東京で奈々恵を見たという手紙が届いた。
奈々恵は自殺しており、久子が身元の確認をおこなったのだが、あれは別人だったと言い出した。

査定する女

玉の輿に乗ることを夢見る陣内美菜は、ついに本物のお金持ちを見つけることに成功した。
しかし、趣味を持たない栗塚と演劇を見に行ったことで、究極の2択を迫られることになる。

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