幼い姉弟が殺害された事件は、犯人の死刑が執行されたことで幕が引かれたと思われた。
しかし、事件から22年後、一家3人が死傷する事件が発生。その一家こそ、姉弟が殺害された家族だった。
事件は思わぬ拡がりを見せていく。
「禁止シリーズ」の第3弾。
長江俊和さんの『出版禁止 死刑囚の歌』を読みました。
あらすじ
千葉県柏市で、6歳と4歳の子供が誘拐され、殺害された上に埋められた。
犯人はホームレスの望月辰郎。裁判では自ら死刑を望み、事件から18年後に死刑が執行された。
しかし、事件から22年後、東京都向島で1家3人死傷事件が発生する。
その家族こそ、22年前に柏で姉弟を殺害された1家だった。
感想
「禁止シリーズ」の第3弾です。
『出版禁止』、『掲載禁止』ときて、ふたたび『出版禁止』に戻ってきました。
ルポだとか、記事といった調子の文章で、読んでいると背筋が伸びる気がします。
そこまでは大袈裟かも知れませんが、普段と違った文体に、どこか緊張してしまいます。
きっかけは、さして珍しい事件ではありませんが、掘れば掘るほど新しい事実が出てきて、複雑な事件の裏側が見え隠れしてきます。
この緻密に計算し尽くされたところが、長江俊和さんの魅力だと思っています。
サブタイトルにもなっている「死刑囚の歌」。
最後まで謎解きがされておらず、自分で謎を解くことに。
とは言っても、回答方法は示されているので、あとはそれにそって…と思うのですが、なかなか難しいですね。
この”歌”の出来こそが、この作品の1番の魅力だと感じました。
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