「旅行のアテンドをお願いできますか? ただし、旅に出るのは私じゃありません。代理人を立てます」
資産家の柳橋友哉が、アートの旅に特化した旅行会社〈梅村トラベル〉に依頼したのは、代理人を美術館に案内し、いつどこで見たのかをどうしても思い出せない『睡蓮』が、どこにあるか探してほしいというものだった。
一色さゆりさんの『モネの宝箱 あの日の睡蓮を探して』を読みました。
あらすじ
アートの旅に特化した旅行会社〈梅村トラベル〉の社長の知人で資産家の柳橋友哉から、いつどこで見たか思い出せない『睡蓮』をもう1度見てみたいとの依頼を受ける。
ただし、旅をするのは柳橋本人ではなく、代理人を立てるのだという。
〈梅村トラベル〉の新入社員・桜野優彩は、先輩社員の志比桐子とともに、柳橋の代理人をモネの『睡蓮』が展示されている美術館へ案内する。
感想
今年1月に発売された作品で、さっそく手を伸ばしてみたのですが、シリーズ作品の2作目だったんですね。
この作品の前に、『ユリイカの宝箱 アートの島と秘密の鍵』という作品が出ていたのですが、チェックしきれていませんでした。
とはいえ、この作品に登場する〈梅村トラベル〉の新入社員・桜野優彩が、前作で桐子のアテンドで瀬戸内海を旅し、〈梅村トラベル〉のガイドとして再出発したという簡単な説明が巻頭に載っているため、それを頭において読めば、すんなりと話に入っていくことができました。
もちろん、前作を先に読んでいれば、もっとわかりやすかったのかもしれませんが…
この作品が発売されたときに、紹介記事を書くためにモネの『睡蓮』について少し調べたので、その時の知識が役に立ちました。
モネは生涯で200点以上の『睡蓮』の絵を残しており、アトリエの池で睡蓮を栽培し、日本の浮世絵に影響受けた”日本風の橋”も架けていたのだとか(初期の『睡蓮』の2作品に登場するそうです)。
また、”少し”しか調べていなかったというのも良い塩梅で、桐子さんの知識にほれぼれとしながら読み進めることができました。
柳橋の最初の依頼内容と、4つめの美術館でのエピソードには、齟齬があるような気がして、何度か読み返しました。
しかし、そこに重要な意味が隠されていたのだと気づき、なるほどと…
なかなか深い作品です。
見たいと思えば、インターネットで検索すればすぐに出てくる時代ですが、たまには美術館などでゆっくり絵画を楽しむのも良さそうですね。
ちょうど、京都市立京セラ美術館で、2025年3月7日~6月8日の期間、『モネ 睡蓮のとき』という展覧会が開催されているそうです。
日本初公開作品7点を含む約50点が展示されているそうですよ。
まずは、前作『ユリイカの宝箱 アートの島と秘密の鍵』を読んでみたいと思います。
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