認知症の祖父は、ある日突然安楽椅子探偵に変貌する!
小学校教諭の楓の祖父は、かつて小学校の校長をしていたが、レビー小体型認知症を患い介護を受けながら生活をしている。
しかし、体調が良いときは認知症であることを忘れさせるくらい、若い頃の鋭敏な思考を取り戻す。
そんな祖父に楓が身の回りで起きた謎を相談すると、祖父の口から謎に対する答えが飛び出してくる。
小西マサテルさんの『名探偵のままでいて』を読みました。
あらすじ
小学校教諭・楓の祖父は、幻視や記憶障害などの症状が現れるレビー小体型認知症を患っていて、介護を受けながら生活をしているが、体調が良いときは病気を感じさせない鋭敏な思考を見せる、安楽椅子探偵へと変貌する。
楓は身の回りで起きた謎を祖父に相談する。
感想
2022年の第21回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作です。
楓の祖父が患っているレビー小体型認知症は、認知症の中の約70%を占めるアルツハイマー型認知症、20%を占める血管性認知症に次ぐ、第3位の認知症なんだそうです。
脳や脳幹に小さな目玉焼きのような深紅色の構造物(レビー小体)が見られるのが特徴で、手足の震えや歩行障害、傾眠症状、そして幻視といった症状が現れるそうです。
病名がつけられたのが1995年と、比較的最近研究が行われている認知症のようです。
私も、この作品を読むまでは、名前を聞いたことがあるかどうか…程度の認識でした。
身の回りの人が認知症になるというのはつらいことですが、体調が良ければ普通に話せるというなら、介護していてもしがいがあるかも。
謎解きも、楓と二人三脚で進めていっている感じが心地よくて、楽しく読むことができました。
最後には大きなヤマを持ってきてハラハラさせられたりと、読後感が良かったですよ。
最後の最後には、作品の中でも少し触れられたリドルストーリーの要素も取り入れられていて、遊び心が良いなぁと思いました。
続編もあるようなので、そちらも手に取ってみたいと思います。
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