【読書】法坂一広『弁護士探偵物語 天使の分け前』

著者ハ行 ▼著者 ハ行

主婦とその1歳の娘を殺害した罪に問われた内尾を弁護することになった「私」。
しかし、裁判の進め方に異を唱えたことから懲戒処分を受けてしまう。

「天使の分け前」とは、蒸留酒を樽で発酵させたときに、水分やアルコール分が蒸発して目減りすることを言います。天使がこそっと飲んでいったのだと…
このタイトルが意味することとは?

法坂一広さんの『弁護士探偵物語 天使の分け前』を読みました。

あらすじ

主婦の寅田涼子と1歳になったばかりの娘が殺害された。
犯人として逮捕起訴されたのは殺人現場にいた内尾。
「私」は、国選弁護人として、その内尾の弁護を引き受けることになるが、その裁判の進め方について裁判所と検察に異を唱えたことから、「私」は懲戒処分を受ける。
そして処分明け、涼子の夫・半次郎が現れ、3年前の事件を再調査することになるが、内尾が入院先の精神病院から失踪するなど、ふたたび事件が動き出す。

感想

第10回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作です。

『要するに、トマト缶男の主張はこうだった。』
なんてキャッチーな書き出しでしょう。
お初の作家さんで、少し不安を抱えながら読み出しましたが、この1行だけで心をぐいと掴まれてしまいます。

しかし、二章でいきなり3年前の話に。
ここが唐突に感じてしまい、「ん?」と…
しばらく読み進めていくと、一章で書かれた現在と繋がるのですが、ちょっとこのあたりが荒削りな印象を受けます。

ジャンル的にはハードボイルドになるのでしょうが、格好良い話ではないかな。
抗うことなく水流に飲み込まれ、何の抵抗も見せずに流されていくような…
「私」が度々口にするジョークも、決して面白いものではなく、その目的もいまいちわからない。
そんなジョークを連発されるうちに癖になってくるというわけでもなく…

ヤマ場は2つくらい用意されていますが、全体的に平坦でストレートなので、少々消化不良というのが正直な感想です。

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