【読書】五条紀夫『クローズドサスペンスヘブン』

著者カ行 ▼著者 カ行

首を切られて殺害された”俺”は、気付くとリゾートビーチに倒れており、首の傷はなくなっていた。
ビーチの近くに建つ洋館に届く『毎時新聞』によると、この〈天国屋敷〉には惨殺された5人がすでに辿り着いていて、”俺”は最後の6人目だったらしい。
“俺”たち6人は、どうして殺されたのかを調査し始める。
天国から現世の殺人事件を調査する、仰天ミステリ。

五条紀夫さんの『クローズドサスペンスヘブン』を読みました。

あらすじ

俺は何者かに首を切られて殺害された。
しかし、気がつくとビーチに倒れていて、首の傷はなくなっていた。
ついでに記憶も失った俺が辿り着いたのは、天国にある〈天国屋敷〉。
毎朝届く『毎時新聞』によると、現実世界の〈天国屋敷〉で6人が殺害される事件があり、俺は天国の〈天国屋敷〉に辿り着いた6人目らしい。
俺たち6人は、なぜ、誰に殺害されたのかを知るために、調査を始める。

感想

無人島に建つ屋敷というクローズドサークルに閉じ込められた6人ですが、事件はここで起きるわけではなく、現実世界で殺害された自らの事件を解くことになるという変わり種。

願った物は条件付きで手に入り、服はいつの間にか綺麗になるけれど、殺害されたときのことを鮮明に思い出すと、また首が切られ、生き返るまでに少し時間がかかってしまう…
天国という特殊な環境に少しずつ条件をつけていくところが巧み。
知らず知らずの間に推理の幅を狭められていきます。

「新潮ミステリー大賞」の最終候補だそうですが、これで候補だったのかと、ちょっと驚き。
面白くはあるのですが、天国という特殊な舞台としたことで、読者が真実に、論理的に辿り着くのが難しくなってしまったところがマイナス点だったのでしょうか…

最終候補で終わらずに、刊行されていることからもわかるとおり、面白さはお墨付きだと思うので、機会があればぜひ。

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