内田康夫さんの『不知火海』を読みました。
あらすじ
雑誌編集者の坂本は、アパートの隣人・米村から木箱を預かる。一向に取りに来る気配がないため開封してしまうが、中には人間の頭蓋骨が入っていた。扱いに困った坂本は頭蓋骨を浅見に預けるが、空き巣に入られてしまう。さらに、過去に仕事を世話したことで交流深めるあるモデルの西島千恵が行方不明になってしまう。浅見は千恵の後を追って九州へと向かう。
感想
この作品は他の「浅見光彦シリーズ」とは異なり、殺人事件を解き明かす物語ではありません。
木箱に入った頭蓋骨と、それにまつわり失踪した男女を追いかけるうちに、炭鉱で起きた事故や、廃坑となった坑道を利用した犯罪、さらにはその付近に住んでいた陶芸家など、数々の奇妙な出来事に突き当たり、それらを浅見が組み立てていくという作品になっています。
タイトルに「不知火」とあるとおり、それぞれの謎がはっきりとしたものでなく、どこかぼんやりとした、そして明確な解決がなされていないような印象を受けるのも面白い点です。
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