小坂流加さんの『生きてさえいれば』を読みました。
あらすじ
心臓の疾患で入院を続けている牧村春桜が、宛名も書かずに手元に大事に置いている手紙を見つけた甥の千景は、その手紙を届けるために、1人新幹線に乗って大阪へ行く。
そこで待ち受けていた羽田秋葉は、かつて読者モデルをしていた春桜の恋人だったが、彼もまた足の不自由な妹を抱えていた。
感想
ズシンと、重く胸にのしかかってくるような話。
実際、読み終わってしばらくは立ち上がることすらできませんでした。
作者の小坂流加さんは、『余命10年』の文庫版の編集の直後に病状が悪化し、刊行を待たずしてこの世を去られた方。
この作品は、小坂流加さんの死後に発見されたものだそうです。
そんな小坂流加さんだからこそ、なおさら響く『生きてさえいれば』という言葉…
自分の命の尊さを知っている小坂流加さんのことを思うと、自分自身の悩みや苦悩がいかに薄っぺらいもので、いかに時間を無駄にして生きているかということを思い知らされます。
それにしても、小坂流加さんの才能には嫉妬。
たった2作しか世に出していないのに、それがこんなに胸を打つなんて。
この2作を読まされた上で、3作めはありませんなんて、なんて非情!
まだ生きている自分は、まだまだやれるんだと、前向きに捉えていきたいと思います。
生きてさえいれば、なんだってできるんだ!生きてさえいれば…
コメント
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私も読んだなぁと部ログを見返したら…
『小説としては幼い感じはあるけど、著者の想い《生》《死》
まさに『生きてさえいれば』それだけでいい…と言う著者の願望…儚い想いを感じました。』
なんて偉そうに書いてました(^o^;
でもその想いは伝わりましたよね~
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>takakoさん
コメントありがとうございます。
『小説として幼い感じはある』
だからこそ、「生」と「死」というテーマがストレートに突き刺さってくるのかも知れませんね。
「死」というものとリアルに向き合っていた小坂流加さんだから書けた作品なのかなぁなんて思ってしまいます。