中山七里さんの『ヒポクラテスの憂鬱』を読みました。
あらすじ
埼玉県警のホームページの掲示板に、
全ての死に解剖が行われないのは、私にとって好都合である。
埼玉県警は今後県下で発生する自然死・事故死において、そこに企みが潜んでいないかどうかを見極めるがいい。
という書き込みが行われた。
投稿者の名前はコレクター(修正者)。
この書き込みを受けて解剖事案が急増。人員と予算が逼迫していく。
感想
「ヒポクラテスシリーズ」の2作目です。
日本における発生する異常死体に対する司法解剖数の少なさを指摘するような、コレクターによる書き込み。
次々と不審死の事案を掲示板で指摘してくるコレクターの狙いは何なのか? 不審死の情報をどこで得ているのか?
警察や栂野真琴が勤める法医学教室は、正体不明のコレクターに振り回されてしまいます。
今回取り上げられた事案は6件。
それらを通じて、コレクターに迫っていきます。
中山七里さんらしく、「驚愕の真実!」といきたいところですが、コレクターの正体がわかったときには、正直「あれっ?」と。
むしろ、最後に明らかになった「驚愕の真実!」の方が、予想どおりでした。
前作『ヒポクラテスの誓い』では、法医学教室の門を叩いたばかりの真琴の頼りなさが目を引きましたが、この作品では、一本立ちとまではいかないまでも、この分野のプロとしての自信と自覚が出てきたのかなぁと、真琴の成長ぶりを見ることができました。
一方、埼玉県警の刑事・古手川との仲はどうなってしまうんでしょう?
本人たちよりも周りが煽っているような気がするのですが、今後の作品でもこのままの位置関係なのか、それとも変化があるのか、気になるところです。
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