【読書】中山七里『カインの傲慢』

中山七里 刑事犬養隼人シリーズ └ 中山七里

中山七里さんの『カインの傲慢』を読みました。

あらすじ 

東京都練馬区の緑地の中で、少年の遺体が発見された。
少年は開腹されており、肝臓が取り出されていたことから、〈切り裂きジャック〉の事件を担当した犬養隼人に招集がかかる。
少年は中国の貧困地域に住んでおり、養子縁組という名目で日本に連れてこられていた。
さらに、貧困家庭で育つ少年が、臓器を摘出された状態で殺害されているのが発見される。

感想

「刑事犬養隼人シリーズ」の第5弾です。
順番を特に気にすることなく読めるシリーズかなと思っていますが、この作品に関してだけ言えば、『切り裂きジャックの告白』を先に読んでおいた方が楽しめると思います。
作品でも触れられているように、臓器を摘出するという点で共通していますし、犬養の娘・沙耶香についても説明があるので、何のことを言っているんだろう?というクエスチョンマークが浮かばなくなるんじゃないかなと。

毎度のことながら、何が正義で何が悪なのかわからなくなってしまう医学界の問題を取り上げた作品。
今回は臓器売買についてです。
臓器売買と聞くと、間違いなく悪だろうと思ってしまうところですが、この本を読み終わる頃には、その自信がグラグラと…
まったく、罪なことをしてくれる作家さんです。

今回は、犬養の部下・高千穂明日香の成長が感じられる回。
犬養との最強のコンビになってくれそうな予感がします。

〈どんでん返しの帝王〉との異名を持つ中山七里さんですが、この作品は順当な経過を経て事件解決に辿り着いた感じ。
最後にサプライズはありましたが、どんでん返しってほどではなかったです。
いつもいつも変化球ばかりではなく、真っ向勝負でも面白い作品を書けるんだよって言われているような気がしました。

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