中山七里さんの『復讐の協奏曲』を読みました。
優秀だが悪辣で弁護費用は法外であることで有名な弁護士・御子柴礼司の懲戒請求を呼びかけるブログに乗じた市民から、800通以上の懲戒請求が届く。
これに対し、御子柴は名誉毀損だとして、1名当たり150万円の損害賠償を求める。
そんな事務作業に追われる中、御子柴弁護士事務所の職員・日下部洋子が殺人罪で逮捕された。
洋子が知原徹矢と食事をして別れたあと、知原はナイフで刺されたが、凶器のナイフから洋子の指紋が検出されたのだ。
「御子柴礼司シリーズ」の5作目です。
プロローグから、謎多き女性だった御子柴弁護士事務所の事務員・日下部洋子の秘密が明かされていくことになります。
しかも、殺人の容疑で逮捕され、凶器のナイフには洋子の指紋のみが。
当然弁護を買って出る御子柴ですがが、この窮地をどう救うのか?
読み進めていくうちに、これはひょっとして…と、あらぬ想像が頭をよぎります。
メリットとデメリットのバランスがあまりにもとれなさすぎると思うのですが、指紋のついたナイフという決定的な証拠を突きつけられると、いろいろ疑ってしまいたくなるものです。
ひょっとして、これが「御子柴礼司シリーズ」最後の作品になってしまうかも?という思いを持ちながら読んだのですが、次回作もありそうな終わり方でしたので、ほっと一安心です。
〈どんでん返しの帝王〉という異名を持つ中山七里さんですが、本を間に置いての知恵比べが心地良いです。
「こんなのわかんないよー」と、探偵による謎解きをただ読むだけでもなく、「こんなのすぐにわかっちゃった」ってなるわけでもなく、ちょうど良い難易度と、納得できる謎解き。
この窮地をどうひっくり返すのだろうというドキドキ感がたまらない作家さんです。
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