東野圭吾さんの『さまよう刃』を読みました。
長峰重樹の娘・絵摩は、花火大会の夜に少年たちに暴行目的でさらわれ、薬物によってショック死した。
その長峰の元に、暴行した少年の1人は伴崎敦也だとの密告電話が入る。
長峰は伴崎の部屋に忍び込み、絵摩が暴行される様子を映したビデオを目にする。その最中、帰宅した伴崎を台所にあった包丁でめった刺しにしてしまう。
さらに、もう1人の少年が菅野快児で、長野のペンションに潜んでいるとの密告電話が長峰の元にかかってくる。
被害者側から見た少年法の問題点や、マスコミのあり方などについて、提言した作品になっています。
被害者の遺族である長峰や、長峰の逃亡を手助けした女性、捜査にあたる刑事らの葛藤を通じて、読者に語りかけてくるものがあります。
少年法については、今年の春に改正されたようですが、この作品が指摘しているように、犯罪を犯した若者の更生を目的としている点に大きな変化はないと思われます。
重罪については…となっていますが、この作品で取り上げられている事件では、被害者遺族の思いが届く内容になっているのかな?と、疑問が残ります。
東野圭吾さんらしく、最後の最後までわからない展開が待ち受けていますが、最後に持ち上がった疑問には、思わず唸ってしまいました。
それまで、何の疑問も持っていなかったのですが、実はそういうことだったのかと…
ただ、それが、物語の本質に関わっていたのかというと、そうでもなかったのかな?という点に、少し物足りなさを感じました。
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