東野圭吾さんの『ゲームの名は誘拐』を読みました。
広告クリエーターの佐久間駿介は、日星自動車のキャンペーンを担当していたが、日星自動車副社長の葛城勝俊から、リーダーを代えるように迫られた。
直接葛城の口からリーダー交代の理由を聞こうとした佐久間は、葛城の自宅を訪ねるが、その葛城の自宅の塀を乗り越えて出てきた若い女性を見つけた。
しばらく女性のあとを着けてから声をかけると、女性は葛城の娘の樹理だと名乗った。
樹理はむしゃくしゃしたことがあって家出してきたところで、葛城から金をせしめたいと言う。
佐久間は誘拐というゲームに挑むことを決心するが、ゲームの勝者は誰になるのか?
敏腕広告クリエーターらしく、佐久間が立てる計画はかなりのもの。
ただ、携帯の所在地を絞り込む方法など、現在知られている捜査手法と照らし合わせると、不十分なところもありますが、そんな細かいことを気にしなければ、十分楽しめる作品だと思います。
東野圭吾さんらしく、一筋縄ではいかない、最後のどんでん返しが用意されているのですが、それがタイトルの「ゲーム」というところに現れているでしょうか。
ゲームには勝者と敗者が現れるわけですが、佐久間は勝者になれるのか?
最後の手札を出した時点で、相手の手札を上回っていなければ負けが確定するわけですが、佐久間が握っていた最後の手札とは?
「結局のところ、犯罪というゲームには勝者はいない」と言いたいところですが、東野圭吾さんは最後まで誘拐をゲームとして扱っておられるようでした。
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