東野圭吾さんの『ダイイング・アイ』を読みました。
あらすじ
バーテンダーの雨村慎介は閉店後、帰宅するところを襲われ、スパナで頭を殴られた。
加害者は岸中玲二。一年半前に慎介が起こした事故の被害者・岸中美菜絵の夫だった。
岸中は警察が駆けつけたときにはすでに服毒死していたが、慎介の記憶からは一年半前の事故の記憶だけがすっぽりと抜け落ちていた。
さらに、慎介の前に妖しい魅力を持った女性が現れる。彼女は何者なのか?
感想
ちょっと東野圭吾さんっぽくない作品だなぁと思いつつ、面白くて一気に読んでしまいました。
「こんな作品もかけるんだぞ」と言っているようにも感じるのですが、それでいて東野文学の範疇から出ていない、絶妙な作品になっています。
記憶喪失というのを上手く使っていて、薄皮が1枚ずつめくれていくように、記憶を取り戻すたびに新事実が。
物語の最大の謎は謎なまま終わってしまうのですが、これはこれで良かったなと思いました。
変に説明をつけてしまうより、謎のままにしたことが読んだあとの余韻に繋がっているような気がします。
また、『ダイイング・アイ』というタイトルが絶妙です。
はじめは違うものを指しているのかな?と思わせておいて、終盤に本当の意味を持ち出す。
この本当の意味を知ったとき、思わずため息が出てしまいました。
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