赤川次郎さんの『保健室の貴婦人』を読みました。
水上碧は保健室の常連になってしまった高校生。
今日も授業中に頭が痛くなり、保健室へ行こうとしたら、保健室が閉鎖になったと言われてしまった。
それでも教室を抜け出し、保健室の前に行くと、1人の女性が現れた。新しい保健の先生だという。
新しい保健の先生・早乙女俊子に、助手に任命された碧は、保健室での仕事をこなしつつ、学業にも身が入るようになっていく。
しかし、中学まで一緒に通っていた栗林ミキの父・良一が、電車内で痴漢をしているところを見てしまう。
碧のとっさの機転に助けられた栗林は、社長の問題をかたづけるのと引き換えに出世を果たすが…
保健室の先生にスポットライトを当てた、ちょっと変わった作品です。
生徒の病気を診るだけでなく、心にも栄養を与えてしまう、縁の下の力持ち。
しかも、警察にも顔が利く変り者。
碧の目線から保健室の先生を見ることになるのですが、尊敬や憧れといった、碧の気持ちまで描かれていてすごいなぁと、ただただ感心。
ミキのパパ・栗林は、会社人としては優秀なのでしょうが、最初に電車内で痴漢をしたところで、この人間の価値が決まってしまっています。
そこから改心して仕事一筋に…という流れもあったでしょうが、赤川次郎さん的に許せない行為だったのかな。
過去の「赤川次郎」記事
コメント