東野圭吾さんの『祈りの幕が下りる時』を読みました。
日本橋署の刑事・加賀恭一郎の母・百合子は、夫と離婚したあと仙台の飲食店で勤めていたが、十数年前に孤独死していた。
小菅にあるアパートで女性が殺害され、新小岩の河川敷でも男性が殺害される事件が発生したが、アパートのカレンダーに書かれていた橋の名前に、加賀が激しく反応する。
一月『柳橋』、二月『浅草橋』、三月『左衛門橋』…というものであったが、加賀が引き取った百合子の遺品にも、同じ内容の記載があったのだという。
このシリーズらしく、地味に面白いなと舌を巻く作品です。
飛躍的な推理や、派手な展開はないのですが、読者を飽きさせない絶妙なストーリーが用意されています。
文庫カバー裏のあらすじには「シリーズ最大の謎が決着する」と、派手な誘い文句が書かれていますが、ちょっと違うのかなぁと思ってしまいます。
地味だけど着実な展開こそがこのシリーズの魅力なのだと思います。
地道な捜査が繰り広げられて、読者の気づかないところですべての準備が整ったとき、加賀が持ち前の推理力を働かせて、ヒントを1つ1つ繋げていく。
それを「ほー」とため息をつきながら読むのが、私にとっての至高のひとときなんです。
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