東野圭吾『分身』

東野圭吾さんの『分身』を読みました。

 

 

北海道で暮らす氏家鞠子は、母親と似ていないというコンプレックスを持って生活していた。
そんなある日、自宅が火事で焼け、焼け跡から母の遺体が見つかった。
大学生になった鞠子は、不可解な母の死の謎を解くために東京へ向かうが、鞠子とそっくりな女性がTVで歌を歌っていたと言われる。

世の中には自分とそっくりな人間が3人いると言われますが、それがコピーのようにそっくりな人間だったとしたら、どんな気分になるのでしょう?
私自身、とあるお城に飾ってある歴代城主の写真にそっくりな人がいて、唖然としたことがありますが、この作品で取り上げられているのは、そっくりどころか、コピーとも言える人たちです。

本のあらすじを読んだとき、私の頭に浮かんだのはジェフリー・アーチャーの『運命の息子』でした。
双子の男の子が別々の家庭で育てられる話ですが、この作品を読み進めていくと、どうも『運命の息子』のパターンとも違うみたい。

背景に関する部分は面白かったのですが、現在置かれている状況については、ちょっと消化不良かな。
なぜ、鞠子や双葉が必要とされているのかというところに、いまいち説得力を感じられませんでした。
鞠子が連れて行かれた施設での話も、展開のスピードを優先するために詳細は割愛って感じでしたので、あそこの部分をごっそりと削って、人間ドラマに視点を絞っても良かったのかな?と思いました。

 

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