赤川次郎さんの『雨の夜、夜行列車に』を読みました。
宮部武士はアクセサリーショップから金を盗んだが、その店は覚醒剤を売買するための組織の隠れ蓑だった。
組織の殺し屋に追われる宮部は、女の家を点々としたあと、妻の亜紀子と合流して、夜9時発の夜行列車で逃走を図る。
一方、会社をクビになった沼木正司は、クビになったことを言い出せず、毎朝同じ時間に家を出る生活を続けていた。
しかし、バスの中で元同僚の米田恵理と出会い、2人で人生をやり直すことを選択する。
その沼木のあとを、娘の万里が追っていた…
さらに、元大臣の富田恒宏や、宮部を追う組織の人間や刑事などが、夜9時発の夜行列車を待つ人で溢れるプラットホームに集まってくる。
タイトルに偽りなし。でも、表紙には…
このタイトルを見ると、夜行列車の中で事件が起きるのかと思う人が少なくないと思います。
それに輪をかけるのが、角川文庫の表紙の絵!
下にリンクを張っておきましたが、この絵を見たら、列車の中の話だと思い込んでしまう人がほとんどだと思うのですが、実際には夜行列車が出発する瞬間までが描かれた作品になっています。
この作品に登場する男性たちは、どこか可哀想な境遇の人ばかり。
でも、自らが招いた結果と言えなくもない。
一方、女性たちも、男性に翻弄された人たちに見えますが、こちらも自らが招いた結果と言えなくもない人が多かったりします。
最後は、三者三様の結末。
その分岐点がどこにあったのかな?と考えると、なかなか面白かったりもします。
タイトルや表紙の絵を見て、列車の中の話を期待してしまうと、期待外れかもしれませんが、夜行列車が出る夜9時に向けて、物事が加速し、収束していく様子を読むのは、なかなか面白いのではないかと思います。
過去の「赤川次郎」記事
コメント