東野圭吾『卒業』

東野圭吾さんの『卒業』を読みました。

女性専用アパートの1室で、牧村祥子が手首を切って死んでいるのが発見された。
祥子はカミソリで切った手首を洗面器に入れている状態で見つかったが、床の上には血を拭き取ったあとが残っていた。

紹子の恋人の藤堂と、友人の若生、沙都子、波香、華江の5人は高校の茶道部の恩師・南沢の家を訪ね、茶室で催される遊び『雪月花之式』を行うが、無作為に選ばれた沙都子が点てた茶を飲んだ、これまた無作為に選ばれた波香が青酸系の毒物によって死亡した。

彼らの友人で、南沢家に遅れて行った加賀恭一郎が事件の謎に挑む。

どうやって殺害したかがわかれば、自ずと犯人がわかる、典型的なハウダニットの作品になっています。
その謎に挑むのは、『新参者』のタイトルでドラマ化された作品の主人公、加賀恭一郎です。
今回が加賀が挑む初の事件という位置づけですが、所々に(決して小さくない)推理ミスがあるところが面白いです。
必ずしも、探偵が真実を言い当てるだけが推理小説じゃないんだなってことを改めて感じさせられます。

この作品では、父のあとを追って刑事にならず、教職を目指している加賀ですが、ここからどういう心の動きや周囲の動きがあって、刑事の道へ進むのか、第2作以降が気になるところです。

トリックは、東野圭吾さんらしく非常によく練られたもの。
細かいところは少々読み飛ばしてしまいましたが、1/2の確率を残したところがミソだったでしょうか。
1/1にこだわっていては、いつまで経っても解けないトリックになっているところに唸らされました。

 

 

 

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