ダン・ブラウンの『オリジン』を読みました。
宗教象徴学者のラングドン教授は、教え子であり友人でもある未来学者・エドモンド・カーシュの科学上の重大な発見に関する発表会に招待された。
発表内容は、人類の永遠のテーマである、「われわれは、どこから来たのか? われわれは、どこへ行くのか?」という人類最大の謎を解き明かすものだという。
しかし、発表会の最中、カーシュは観客に紛れ込んだ暗殺者の手によって殺害されてしまう。
ラングドン教授と美術館館長で、スペイン王子の婚約者でもあるアンブラ・ビダルと共に、カーシュが保存しているはずのプレゼンテーションの動画を公開するために立ち上がる。
映画化もされた『ダ・ヴィンチ・コード』、『天使と悪魔』、『インフェルノ』の続編です。
原作の順番は、『ダ・ヴィンチ・コード』よりも『天使と悪魔』の方が前。『インフェルノ』と本作品の間に『ロスト・シンボル』があります。
このシリーズに限らず、ダン・ブラウンの作品は(日本で出版されているものに限りますが)すべて呼んできて、結構好きな作家の1人なのですが、この作品に限っては、いまいちだったかな、というのが正直な感想です。
まるで、ハリウッド映画になってしまったような感じだな、と…
物事を大きく見せようとして、大袈裟になっている部分に気づくと、ちょっと興醒めしてしまうというか…
かなり勉強されたんだろうな、とは思うのですが、時間は有限であり、人一人にできることは限られていると考えると、すべてをカーシュ1人の仕事とするのは無理があるなぁなんてことも…
『天使と悪魔』や『ダ・ヴィンチ・コード』のように、謎を次々と解き明かしながら、秘密に迫っていくというパターンではなく、今回は1つ1つのキーの解読に時間をかけている、というか、キーの解読が目的ではないというところが新しかったかな?と思いました。
中巻の終わりの方から下巻の頭の方を読んでいるときに、カーシュの発表を受けての世界の動向が描かれているのかな? ひょっとして、ラングドンシリーズの最終話になるのでは?と思いながら読み進めましたが、読み終わった感想としては、中途半端。
「われわれは、どこへ行くのか?」の答えは、新型ウイルスによって滅亡するといった解もあったと思いますが、それはすでに『インフェルノ』で使用済み。
あのネタで行くのであれば、もう少し描き方があったと思うのですが…
1つ1つの場面を切り取ってみれば、よく書けていると思うのですが、アクションシーンはアクションシーン専門のスタッフが、キスシーンにはキスシーン専門のスタッフと、専業化された上にそれらの繋がりが希薄になってしまった、ハリウッド映画を見ているような気分になってしまいました。
この作品で大きな役割を演じているのが、人工知能のウィンストンです。
「機械が心を持ったとき」というのが、この種の話をするときに付き纏う言葉ですが、ウィンストンを見ていると、積み重ねられた知識の上に心が育つのかな?と思いました。
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