赤川次郎さんの『国境の南』を読みました。
来日中のアメリカ副大統領ジョン・グレイが、SPの目を盗んで宿泊先のホテルから姿を消した。
グレイが乗ったタクシーを突き止め、急行したSPたちだったが、高級住宅街の中の邸宅内で拳銃を手にしたグレイが発見される。
家の中には、2人の男女が死んでいた。
どう対処すべきか悩んだ二本木首相と山田官房長官だったが、事件があった邸宅をアメリカ大使館の別館にすることを山田が思いつく。
しかし、その邸宅の私道を通らなければならない場所に、1軒のアパートがあったため、突然現れた大使館はTVで取り上げられる騒ぎになってしまう。
日本は地上にほぼ国境線を持たないため、『国境の南』というタイトルを見ると、異国の話かと思えてしまいます。
しかし、実態は高級住宅街に突如現れた大使館別館によって、物理的に日本の飛び地が発生してしまった話です。
突如アメリカ大使館の一部になってしまった私道を通行するために、パスポートを要求されるという、異常事態です。
この作品が発表されたのは、2001~02年にかけてだそうですが、保身のために多くの人を巻き込んだり、有事に上手く対処できない日本の政治家など、まるで現在の状況を予言しているかのよう。
まぁ、20年前も今も、変わらないということなんでしょうが…
平時であれば笑って読める内容かも知れませんが、コロナ禍においては、あまり面白いと思えないかも知れません。
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