東川篤哉『谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題』

東川篤哉さんの『谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題』を読みました。

滝口久恵が仲間たちとの伊豆旅行から帰宅すると、見慣れたはずの家の中の様子が何だかおかしい。
写真立てが逆さに置かれていたり、本棚に置かれた書籍や雑誌、DVDなどもすべて逆さになっている。
DVDプレーヤーは前後逆さになっているし、金庫も天地逆さになっていた。
慌てて金庫の中などをあらためた久恵だったが、何も盗まれたものはなかった。

久恵の孫娘・足立瑞穂からその話を聞いた岩篠(いわしの)つみれは、谷中で開運グッズを売っている『怪運堂』の主人・竹田津優介に相談を持ちかける。
竹田津は1ヵ月前、つみれの友人が関係した事件を見事解決に導いていた。

ユーモアミステリを得意としている東川篤哉さんの作品です。
登場人物の設定からしてユーモアに富んだものとなっていて、このまま最後まで続くのかとちょっと不安になったりもするのですが、さすがは東川さん。安定感があります。

家の中のものが逆さまになっているにも関わらず、何も盗まれた物がないというこの設定、何が起きているのかさっぱりわかりませんでしたが、謎解きを読んで納得。
そういう目的だったのかと、思わず唸ってしまいました。

この『中途半端な逆さま問題』を含め、4つの短編が収められているのですが、探偵役は『怪運堂』の主人・竹田津優介。そして、ワトソン役を岩篠つみれが務めています。
新しいシリーズキャラクターになるのかな?とも思うのですが、この竹田津という人物、4編読んだだけではいまいちそのキャラクターを掴みきれません。
鋭い推理を見せるのですが、どこか抜けていたり…
彼は名探偵なのか?それともまだ穴のある駆け出しの探偵なのか?と、頭を悩ませてしまいます。

個人的には、『怪運堂』の主人としての顔と、名探偵としての顔に、もっとメリハリがあっても良いのかな?と思いました。
だって、この作品に収められている竹田津だと、東川篤哉さんらしくない「ただの名探偵」に見えてしまうんだもの。

 

 

 

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