感想

▼著者 タ行

【読書】筒井康隆『ロートレック荘事件』

夏の終わり、木内文麿が所有する別荘に、若い男女が招かれた。別荘の名は〈ロートレック荘〉。別荘内には、画家ロートレックの作品が飾られている。しかし、その夜、二発の銃弾がこだまする。殺害されたのは牧野寛子。さらに、警察による事情聴取中にも、木内典子が殺害されてしまう。
├ 濱嘉之

【読書】濱嘉之『警視庁情報官 シークレット・オフィサー』

警察機関の弱点であった情報部門を強化するため、警視総監の肝いりで、情報室が立ち上げられた。その情報室の責任者の1人に抜擢されたのが、黒田純一。そして、情報室に怪文書が舞い込む。それは、政、官、財界や、世界的な宗教団体を巻き込む一大犯罪との対決の序章だった。
├ 赤川次郎

【読書】赤川次郎『死者の試写会へようこそ』

映画のスニークプレビューで放映されたのは、15年前に発生した殺人事件をモデルにした作品。1時間を過ぎたころ、「こんなこと――誰も知らないはずだ! どうしてだ!」と叫びながら、観客の1人が飛び出していった。
├ 才羽楽

【読書】才羽楽『君の思い出が消えたとしても』

駅前で道に迷っている老婦人を助けた遠藤達也は、丘の上で女性と出会う。彼女は、月尾夢奈という女性の身体を借りた〈思い出コーディネーター〉だと言う。夢奈曰く、達也は1ヶ月後の8月31日に死ぬことになっているが、良い思い出と引き換えに、寿命を延ばすことができるという。達也は夢奈とともに、良い思い出作りや、過去の後悔を晴らす行動を起こす。
├ 小路幸也

【読書】小路幸也『スタンド・バイ・ミー』

『あなたのおなまえなんてぇの』すずみが、古本屋〈東京バンドワゴン〉の中でも、相当古い比較的お高い本が並んだ棚の中の本の並び順が、入れ替えられていることに気づいた。翌日も、紺がご婦人が立ち去ったあとに棚を見ると、また本が並べ替えられていた。さらに、買い取った本を確認していると、裏表紙の内側に紙が貼られていて、それを剥がすと「ほったこん ひとごろし」と書かれていた。
└ 中山七里

【読書】中山七里『秋山善吉工務店』

秋山雅彦、太一の兄弟は自宅が全焼し、母・景子とともに焼け出された。1人2階で寝ていた父・史親は焼死。3人は、工務店を営む史親の実家の世話になることを決める。史親の父・善吉は、無愛想な態度にべらんめぇ口調、古色蒼然とした考えを持つ雷オヤジ。景子は善吉の家を出て、3人で新たな家庭を作ることを考えるが、なかなかうまくいかない。さらに、警視庁の刑事・宮藤が、景子に放火の疑いの目を向ける。
├ 大倉崇裕

【読書】大倉崇裕『夏雷』

探偵事務所を辞め、便利屋になった倉持に、槍ヶ岳に登れるようにして欲しいと依頼があった。依頼してきたのは50代前半とみられる山田。山田はなぜ山岳会やスポーツジムに入らず、倉持に依頼してきたのか?槍ヶ岳に登る理由を聞いても、山田は答えてくれない。また、倉持自身にも、長年山から目を背けてきた理由があった。
├ 濱嘉之

【読書】濱嘉之『警視庁公安部・青山望 頂上決戦』

特急列車の中で、女性がフグ毒によって殺害された。身元を調べると、女性は元岡広組のナンバー3・清水保の義妹。一緒にいた男性は元岡広組の構成員だった。ヤクザ同士の利権争い、中国マフィアの勢力争いなどに、青山ら同期カルテットが対峙する。
├ 小路幸也

【読書】小路幸也『花咲小路一丁目の刑事』

刑事になった赤坂淳は、祖父母が和食屋を営む花咲小路へ帰ってきた。非番の日になると、淳は祖母からご近所さんの悩み事を持ちかけられる。自宅で餌を食べなくなった猫の話や、亡くなった先代から届く手紙など…時に、ストリートミュージシャンのミケさんや、〈松宮電子堂〉の北斗くんらの力を借りながら、淳は小さな謎を解き明かしていく。
└ 米澤穂信

【読書】米澤穂信『犬はどこだ』

紺屋長一郎は、犬探し専門の調査事務所〈紺屋サーチ&レスキュー〉を開設するが、開設から2日で2件の依頼が入った。1件は失踪した佐久良桐子を探しだして欲しいという祖父からの依頼。もう1件は神社に伝わる古文書の解析依頼。探偵に憧れる高校の後輩・ハンペーこと半田平吉と手分けし、さっそく調査に当たるが、桐子は過去に神社の古文書を調べた経歴の持ち主だった。
└ 中山七里

【読書】中山七里『ワルツを踊ろう』

父が亡くなるのとほぼ同時に外資系の投資会社を辞めた溝端了衛は、故郷の依田村滝川地区へUターンしてきたが、閉鎖的な地区の住民らとの関係に悩んでいた。滝川地区で生産される無農薬野菜をブランド化し、インターネットで販売するというプロジェクトを提案する。しかし、不揃いな見た目の野菜は返品の嵐。その責任を了衛は押しつけられる。
├ 才羽楽

【読書】[オススメ]才羽楽『カササギの計略』

 僕が帰宅したとき、アパートの部屋の前に座っていた美女は、かつての約束を果たすためにやってきたというが、僕は彼女の顔に見覚えがない。突然とんでくる平手打ち…しかも、彼女は難病に冒され、余命がわずかだという。最後に涙腺崩壊!と思いきや、新たに生まれる謎。そこに、この作品がミステリであることを思い出させてくれます。第15回『このミステリーがすごい! 』大賞の隠し玉!
├ 赤川次郎

【読書】赤川次郎『教室の正義』

中学校の全生徒に配られた教材『心のノート』。その中には、「この学級には正義はあるか!」と書かれていた。『心のノート』が使用されているかどうかを視察に来た教育委員会の先生に対し、植田辰夫は、番長的な存在である南田康久が、テストでカンニングをしていたことを告発する。植田の勇気に触発された生徒らによって、「道徳委員」が設置され、委員長には植田が就くが…
├ 周木律

【読書】周木律『双孔堂の殺人』

Y湖畔にそびえる〈ダブル・トーラス〉という名の、大きな鍵の形をした建物。ここに、数学者らが集まった。しかし、建物の主・降脇一郎が書斎で、鰐山豊が客室でそれぞれ殺害されてしまう。双方の部屋は密室になっており、書斎の中には、凶器の銃を持った十和田只人が倒れていた。妹に頼まれ、十和田のサインをもらうために〈ダブル・トーラス〉を訪ねた警察庁の宮司は、偶然事件に巻き込まれることになるが…
├ 濱嘉之

【読書】濱嘉之『警視庁公安部・青山望 巨悪利権』

大分県湯布院で、九州ヤクザの大物が殺害された。殺害方法は、トリカブトの毒を塗った吹き矢を用いるという珍しいもの。ヤクザたちが動き出すと読んだ警視庁は、九州に人員を送り込む。やがて、警視庁とヤクザらの全面戦争へと発展する。
├ 小路幸也

【読書】小路幸也『花咲小路四丁目の聖人』

時代の波には逆らえず、空き店舗が増えて寂れる一方の花咲小路商店街。ここに店を構える、中華料理屋、薬局、書店の主人や妻たちに、浮気やホストクラブ通いの噂が出る。時を同じくして、香港の大手スーパーチェーン〈マッシュグループ〉による商店街の買収計画が持ち上がる。商店街に土地を持ち、塾を経営する矢車家の矢車聖人、帰化する前の名前ドネィタス・ウィリアム・スティヴンソンは、かつて〈最後の泥棒紳士”セイント”〉と呼ばれた人物。花咲小路商店街の危機に、聖人が立ち上がる。
├ 石川智健

【読書】石川智健『もみ消しはスピーディーに』

警察組織を監視する立場にある監察官が不祥事を起こしたことをきっかけに、警察を外から監視する役割として、リスクヘッジ社がK庁と契約を結んだ。しかし、K庁とリスクヘッジ社の契約の中には、警察官による大きな不祥事をもみ消すという案件が含まれていた。警察官の不祥事を発覚前にもみ消していくリスクヘッジ社と、リスクヘッジ社に疑いの目を向ける監察官の和久井。警察の不祥事を巡って対立する2者の行く末は…
├ 大倉崇裕

【読書】大倉崇裕『凍雨』

夫の慰霊登山のため、10歳の娘・佳子とともに嶺雲岳を訪れた植村真弓。しかし、真弓たちのあとから、嶺雲岳の小屋を目指すヤクザ者たちの集団が。さらに、そのヤクザものたちを追って、中国マフィアの軍団が押し寄せる。真弓の夫の友人・深江信二郎は、登山口で真弓たちの姿を見て引き返すが、何者かに襲撃されてしまう。
├ 島田荘司

【読書】島田荘司『斜め屋敷の犯罪』

北海道の最北端、宗谷岬に建つ通称〈斜め屋敷〉。母屋の床は5~6度傾いており、母屋の隣りに建つ塔はピサの斜塔と同じだけ傾いている。クリスマスの夜、館の主人・浜本幸三郎の仕事関係者らが招かれたが、翌朝、招待客の菊岡栄吉の運転手・上田一哉が密室で殺害されているのが発見される。さらに翌日、4名もの刑事が館内に泊まり込んだにも関わらず、今度は菊岡が殺害されてしまう。
└ 中山七里

【読書】中山七里『テロリストの家』

警視庁公安部に勤める幣原勇一郎は、日々テロとの関係が疑われる者の監視活動を行っていた。しかし、ある日突然、内勤を言い渡される。そして、イスラム国の志願兵の求人を行っていた、秋葉原にある防犯グッズ店に公安の捜査が入った日の夜、幣原の家を同僚の高頭が訪ねてくる。長男で大学院生の秀樹を、志願兵の求人に応じた者として、逮捕するというのだ。
▼著者 ハ行

【読書】深水黎一郎『ミステリー・アリーナ』

唯一の道路にかかる橋が大雨で流され、陸の孤島となった屋敷に、ミステリー研のOB、OGが集まった。しかし、屋敷の主である鞠子が自室で殺害されてしまう――。このミステリーを読みながら、最も早く真実に辿り着いた者には多額の賞金が用意されている、大晦日のテレビ番組『ミステリー・アリーナ』。14人のミステリーオタクたちが挑むが、果たして正解者は現れるのか?
├ 小路幸也

【読書】小路幸也『三兄弟の僕らは』

稲野朗、昭、幸の3兄弟は、突然の交通事故によって両親を失った。札幌から、ほとんど面識のない祖母・坂橋栄枝が駆けつけてきてくれて、4人での生活がはじまるが、ご近所さんとの小さなトラブルや、両親が遺した秘密と対峙する必要に迫られる。
├ 周木律

【読書】周木律『眼球堂の殺人』

世界的建築家・驫木煬が建てた、名前のとおり眼球を模した私邸〈眼球堂〉に、5人の著名な学者、芸術家、政治家と、編集者が招待された。そして、その中の1人、数学者の十和田只人にくっついてやって来た駆け出しのルポライター・陸奥藍子を加えた人々が、山の中に立てられた〈眼球堂〉に、3日間滞在することになる。しかし翌朝、驫木が敷地内にある高さ10mのポールの先端に刺さっているのが発見される。さらに3日目の朝、物理学者の南部耕一郎が銃殺され、政治家の黒石克彦が転落死しているのが発見される。
└ 東野圭吾

【読書】東野圭吾『あなたが誰かを殺した』

別荘地で男女6人が刺され、5人が死亡する連続殺傷事件が発生した。次の夜、自首した無職の桧山大志が逮捕されたが、桧山は黙秘を貫き、事件の詳細は謎のままだった。そこで、被害者の遺族らが集まり、検証会を行う。夫を殺害された鷲尾春那の同行人として、休暇中の警視庁捜査一課の警部・加賀恭一郎が参加する。